数々の改革を成し遂げ、ローマに平和(パクス)をもたらしたアウグストゥスが、自らの家族の裏切りや後継者の早死に悩まされます。<P>娘や孫が、アウグストゥス自らが反対の論陣を張っていたにも関わらず浮気に走ったり、後継者に指名した者が次々と病気や戦死により倒れたりというような不幸が襲います。<P>自らが才能を見出されて後継者に抜擢されたアウグストゥスが、なによりも自らの血を残すことにこだわったのは、人間の業なのでしょうか。結局、一度は追放した血縁関係のないティベリウスが次期皇帝となるのは運命の皮肉としかいいようがありません。<P>パクス・ロマーナを実現した、神君アウグストゥスの政治的幸運と個人的運命の悲運。人間ドラマとしても楽しめました。
日本史なら司馬遼太郎。<BR>世界史、とりわけこのローマ帝国史なら塩野七生氏でしょう。<BR>私の大学の先生もお奨めしていました。<BR>現代にも通じるところが多々あり、大変ためになります。<BR>どっちみち最後にはローマ帝国の滅亡というラストが待っているのですが、<BR>そこまで行くのにこれだけの過程を経たのだということが真に実感できる良書です。<BR>是非一読あれ。