たしか『ちょっとピンぼけ』のキャパが一人の自然人というよりも、何人かのチームによってプロデュースされたキャラクターであったように、「不肖・宮嶋」も「週刊文春」によって作られたキャラである(誕生の顛末は下巻「解説」でも触れられているとおり)。しかしカメラマン宮嶋茂樹が演じつづける「不肖・宮嶋」とその冒険は、なんとも魅力的なのだ。<BR>関西人のステロタイプそのままに軽躁的で毒舌家で好色でやや吝嗇な「宮嶋」氏は、職業上の難事にぶつかり、ときに生命の危険と隣り合わせになりながらも乾いた、荒っぽいユーモアを忘れない。その軽快な文体が、過酷な戦場にうごめく人間たちの本質的な滑稽と悲惨を伝えるのである。<BR>キャパがそうであるように、宮嶋茂樹の名声もかなりの部分、その写真以外の著作によって支えられ続けざるをえないだろう。
この「不肖・宮嶋ちょっと戦争ボケ」上下巻は以前に発刊された「不肖・宮嶋 国境なき取材団」を改題し、文庫版として発売された本。改題されているので買ってしまった。
この「不肖・宮嶋ちょっと戦争ボケ」上下巻は以前に発刊された「不肖・宮嶋 国境なき取材団」を改題し、文庫版として発売された本。改題されているので買ってしまった。