この作品の中に登場するどの人物も、普段は陰口をたたかれたり、あざ笑われたりする、うだつの上がらない人物だ。しかし、剣の腕前は抜群だ。ひとたび剣をかまえると、人柄は一変する。さながらスーパーマンというところか。お役目のために剣をふるい、それが終わるとまたいつもの生活に戻り、他人に侮られたりしている。そのギャップの面白さがよく出ている。どの作品にも人を斬る場面が出てくるが、決して残酷には描かれていない。そのことも、ほのぼのとした気持ちで読める一因かもしれない。
人と異なるその風体、日常生活のために普段は『変り者』と評されていますが、実は剣の達人である下級武士の活躍をペーソスをもって描いています。<BR> 下級武士のあたかも現代のサラリーマン、公務員の様な日常生活と主君の命令を受け、ニヒルなテロリストと化す非日常シーンの対比がとても印象的です。<BR> 藤沢周平作品は初めて読みましたが、主人公とその家族には古き良き時代の日本人の精神の美しさが感じられて、心洗われる気分になります。
<P>たそがれても光る。<BR>臭くても強い。<BR>日和見でも切れる。 <BR> <BR>ぼくは強いぞって走り回った子供時代を、<BR>何故か彷彿とさせるのです。 <BR>そして、もう紙よりも薄い、透けるような、<BR>はかない女性が描かれます。<BR>「男の子なんだから」ってすりこまれ、<BR>そして傷つき続けた男の子の夢が、花開く。<BR>もう許してね。<BR>囚われているとは解っていても、<BR>この夢からは逃れられない。<BR>男の子の聖書ですねえ。<BR>