是非読んでみてください。<BR>吃音をもつ子どもの心を、取り巻く環境を、ここまで繊細に鮮やかに描ききった本を私は知りません。涙で読みましたが、読後は爽やかな風がさっと吹き抜けていったような印象が残ります。
吃音という障害を持つ一人の少年が、父親の転勤に伴い、何度も転校する物語です。自分の伝えたいことを思うように話せず、いらだったり、情けなる気持ちがよく描かれています。小さい時は、吃音から逃避するように 「きよしこ」という心の友達を作ります。そして、少し成長していくと、自分が発音しづらい音を避けて会話をするようになります。私たちも、子供のころ、心の友達の様な存在を たとえば、お人形とかに作りませんでしたか?そして少し成長すると、ちょっとずる賢くなり、いかに自分をよく見せよう、としませんでしたか?この物語の主人公は吃音という障害と持っていますが、障害をもっていない私たちもたぶん同じように成長しているのです。一見障害児の物語のようですが、根底は普通の少年の成長物語で、そこに重松清さんの優しさを見いだしました。
主人公の少年が、いろんな人と交流しながら、成長していく姿が、印象的でした。<BR>「きよしこ」の言葉が今も心に残ってます。<BR>「それがほんとうに伝えたいことだったら…伝わるよ、きっと」<BR>その通りなんですよね。たぶん。人に何かを伝えるって難しいけど、ほんとうに伝えたいことは伝わるもんなんですよね。みんながそういう気持ちでいれば、テロだとか争いごとってなくなるのかな…