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マクベス ( シェイクスピア 福田 恒存 )

スコットランドの武将であるマクベスが、魔女による「お前は王になる」という予言に惑わされて王を暗殺して王位につくが、王の子供や他の武将たちに滅ぼされるという話。シェイクスピアの四大悲劇の中ではもっとも短く、わかりやすいストーリーです。要するに、人を裏切らず、分をわきまえた生き方をせよとの教訓が込められているのでしょう。<P>マクベスは11世紀に実在したスコットランドの王ですが、ここに書かれているほど悪い王様ではなかったらしいです。マクベスの敵がその後のイギリスの王族の祖先である為に、シェイクスピアは現在の王へのおべっかとしてマクベスを実像以上に悪く描いたのだそうです。で、リチャード3世同様、そのイメージが現在でも残ってしまっているわけです。名作というのも罪なものですね。

スウェーデンとの戦争の立役者、スコットランドの武将マクベスは、荒野で三人の魔女にスコットランドの王になるとの奇怪な予言を受ける。予言の内容は次々に実現し、夫人にもそそのかされ、マクベスは王ダンカンを自身の城で弑し、みずから王となるが・・・。<P>シェイクスピア四大悲劇のなかでも、もっとも密度が高い凝集力をもつと言われる作品です。読み手によって、さまざまな解釈が可能、つまり受けとれるメッセージの幅広さに、シェイクスピアならではの奥行きの深さを感じます。<P>「悪」の側にずるずると入り込んでいくマクベスですが、全編を通して表現されている彼の葛藤はやはり、「善」と「悪」の分水嶺を認識していればこそなのではないでしょうか? マクベスもマクベス夫人も良心のかけらがあればこそ悩み、狂気の底へ落ちていったように思います。良心を一方にもちながらも、何かに突き動かされるように、悪業を行ってしまう人間の心理を見事にとらえている、そんなことを感じました。<P>ところで、ギリシア悲劇は、本人は悪くないのに知らず知らずのうちに悲劇的結末に突き進んでしまう、という構造、つまり神々によって運命が定められている、という世界観に基づいています。それと比較すると、ある程度自身でコントロールがきくはずなのに、何故かはどめがきかなくなり、どうしようもなく間違った方向に行ってしまう、というのがシェイクスピア悲劇の特徴ではないでしょうか? その世界観には、宗教的な運命論よりも、個々人の内面に対する視点が見られます。個人の能力、意志、といったものに、一定の独自性、重点をおいている、という意味で、シェイクスピア劇はつとめて現代的なものだと言えるのかもしれません。

~昔、自分向きの面白い小説を探していた時期にとりあえず最初の数ページを読んだのですが、面白さがいまいちわからず放っておいて、最近ふと読み直してみたら、とても面白かった。<P>読む前から基礎知識でおおまかな展開は知っているのだけれど、それでも読みたいと思うのは、その台詞にあるのでしょう。<BR>「だれが首を締めるの?」「それはいい人がよ。」、$N~~$「誰だって思いもよらないでしょうね、年寄りにあれほど血があるなどと?」<BR>など、ぞくっとくる言い回しが多い。<P>シェイクスピアを読んでおくと、あのドラマ(小説)はこの物語を下地にしていたんだ、というようなことがよくあります。シェイクスピアはそれだけ避けることのできない名作ということなのでしょうし、こちらもそれらのドラマに対する読みが~~深くなり、よりそれらの作品を深いところで捉えることができると思います。~

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