この本を読むにあたって、常に考慮しないと絶対に内容を理解する事が出来ない事があると思う。<BR>それは、一人旅とはどのようなモノであるのか。そして、一人旅をしている旅人はどのような事を考えるのかという問いかけである。<BR>本来前提となるハズの、この二点に関する理解なしには、香田氏の行動に迫る事は出来ないだろうし、著者・下川さんの意図も理解できないと思う。だから、下川さんは自分の経験と照らし合わせるという作業を繰り返しているのだ。<BR>旅を殺そうとしている今の日本に対する疑問と抵抗、それがこの本の根底にある。
タイトルは、正しくは「なぜ殺されるような危険な所に行ったのか」<BR>であるべきだと思いました。<BR>個人的には、当時のイラクに行くことがどれだけ危険であったか、<BR>それがどれだけ非難されるべき行為か、にはあまり興味がありません。<BR>それよりも、当時香田さんが何を思ってイラクへと旅立ったのか、<BR>この点には非常に興味があります。<BR>その疑問に対して、筆者は香田さんと同じ経路をたどり<BR>その時々の気持ちの移り変わりを推測しています。<BR>その推測が正しいのかどうか、今となっては判断することはできませんが、<BR>個人的には多いに共感して読むことができました。<BR>日本が、ただの景気の良い国ではなく難しい社会へとなってきた昨今、<BR>若者の心情というのは想像以上に不安定であるのことは、日ごろのニュースからも分かります。<BR>そして、その不安定な若者に留学/旅行によって環境の変化がおこり、<BR>それに順応することが難しかったとしたら、<BR>何か間違った判断をしてもおかしくない、と思いました。<P>これからの時代を生きぬくには、自分自身を強く持っているべきである、<BR>と感じました。
バックパッカーだということを知っていたので、その著者がなぜ超社会派なドキュメントを?と思いさっそく読んだ。<BR>著者の他の旅本とは違い著者自身がこういう設定を書くことに慣れていないせいか?!文章や構成にこなれていない箇所もあった。<BR>ただそれは本書の出来事に同じ旅する人間としての大いなる驚きと無念さで著者が前のめりっぽくなってしまったからだとも言える。<BR>本書に出てくる「知ってしまった」人間というものは、それを本書で感じれば十分だし、それがいいたいことの重要な「ひとつ」になる。<BR>そもそも香田氏について書くこと自体誰もやっていない。<BR>この「日本で」それをやったのだから行為良書とも言える。<BR>こなれない部分もあるが読んで損はない。<BR>少なくても☆ひとつではない。