『免疫の意味論』に続く本書では、免疫学者・多田富雄の生命観や「スーパーシステム」の概念がよりわかりやすく書かれています。<BR>免疫機能や遺伝子に関するテーマにも引き続き触れていて、<BR>― 人間はウイルスと共存していたのに、なぜエイズウルスのようなものが現れたのか?<BR>― オタマジャクシが蛙になるときに尾が失われるのもアポトーシスによる<BR>― 男脳・女脳の違いは、視床下部にある神経核の大きさの違い<BR>― 鶏にウズラの脳を移植するとウズラ行動をとるが、やがて免疫反応で死ぬ<BR>といった興味深い話も満載です。<P>「免疫」とは「非自己に対して行う自己の行動様式」。そこには「自己」という「存在」があるのではなく、「自己」という「行為」があるのみ―。この部分を読み、今まで免疫における「自己」を擬人化して捉えていた自分の勘違いに気づかされました。<BR>「免疫」システムだけでなく、「生命」や「社会」のシステムについて考える上で、多くの示唆を与えてくれる本です。
私たちは近い将来に、人間に取って代われる力を持った人工的な生命体。いわゆる「ロボット」が誕生するのではないかという、漠然とした期待と恐怖の混在する時代に生きている。この書物は意識という現象が、現在の人間の科学と技術をはるかに越えた「超システム」であることを教えてくれる。「ロボット人間」が、遠い未来の夢物語であることを、説得力を持って説明してくれている。生命の「技法」は、工学的機械の限界をはるかに凌駕している。人類には、考える時間が充分にあるのだ。安心立命を与えてくれる名著である。
私には科学の知識なんて全然ないのですが、わかりやすいのですらすら読むことができました。普段科学に興味のない方にも是非読んでいただきたい一冊です。世の中の見え方が変わりますよ。