9人の古今東西の数学の天才列伝。<BR>日本人として関孝和が入っている。<P>まず、数学を愛して止まない著者の姿が好ましい。その人柄が自ずと分かる文章である。<BR>そして、もちろん、9人の「天才」数学者の苦悩と感動のドラマも興味深い。<BR>数学者として天才で有ったからと言って、もちろん人生の成功者とは言えない。<BR>それでも、数学が持つ魔力に魅了された9人は、僕たち人類の本質である“好奇心”と“探究心”のいちサンプルとして、あまねく紹介されている良書である。<BR>圧巻は『フェルマーの最終定理』を証明したワイルズの章だ。
以前、NHKの『人間講座』で数学者の藤原正彦さんが古今東西の数学者の人生と業績をドラマティックに紹介されていたのを見て「これはおもしろいな」と思ったのですが、見たのが途中からだったため、こうして本になって初めて全回分見れました。<BR>本書は数学に縁のない普通人の私でも楽しめ、感銘を受けることができた良著です。いや、むしろ生半可な小説よりはるかに『人間』というものが描かれていて、名著と呼ぶべきかもしれません。<BR>学者の書いた本にありがちな難解な文章ではなく、極めて平易に読みやすさを考慮して事実を訥々と語るその文章に好感が持てました。<BR>本書で特に面白かったのは、暗号解読の天才・チューリング、南インドの魔術師的天才・ラマヌジャン、そしてフェルマーの最終定理をといたあのワイルズの章です。<BR>前2者は『時代』や『文化、環境』といったものに翻弄される場面で非常に不運な面がありましたが最後のワイルズは、子供の頃読んだ『最後の問題』という本に載っていたフェルマーの最終定理を、いつか必ず解いてやろう」と決心し、それをついに激闘の果てに達成するまでの過程が実に素晴らしい!<BR>タイトルの厳しさに暗い本と思われるかもしれませんが、ハッピーエンドで終わる本です。<BR>最後のインタビューでのワイルズの言葉が印象に残りました。<P>「形容のできないほど素晴らしい瞬間だった。優雅で、とても単純で…。あれほどのことはもう私の人生に起こらないだろう」
タイトルの「天才」という言葉に<BR>わけもなくひかれて<BR>手に取った一冊です。<P>世の中、天才と呼ばれる人はたくさんいますが、<BR>数学や物理の世界で天才というと<BR>また別格だなぁ<BR>と思います。<P>この本で取り上げられている数学者は<BR>誰でも知っている数学者ばかりではありません。<BR>それでも、この本を読むと<BR>その人たちの強い輝きを垣間見ることができます。<P>(ちょっと分量が少ない気もしますが)<P>そして彼らに与えられた才能と<BR>降りかかった不幸に接し、<BR>ちょっぴり切なくなりました。<P>藤原正彦の語り口、いいですねぇ。