中公新書の名著として誉れだかい本書。その書名が表すところはあまりにも有名になった。<BR>「時間」や「秒」人間が生活の便宜上つくり出した人工物であることを改めて知らされる。なにか、立花隆が『宇宙からの帰還』で書いている「地球の時間、月の時間」とスケールこそ違うが、共通してる部分があるようでおもしろい。<P> 各々の動物がもつ時間について書かれている箇所は本書の最初の部分だけに過ぎず、その後は動物の食事量やエネルギーについて、また生物の精巧なつくりについてなど、話題は多岐におよんでいく。それにしても、生物とはなんと無駄なく生きているのだろうか。生物の神秘というものを感じずにはいられない。
この本は”ゾウの時間ネズミの時間”というタイトル通り時間というものが生物の大小によってどのように変化していくかという切り口から始まり、最後にはそれがなんとなくわかるようになっている。しかし、時間という点においてより、なぜゾウとネズミのようにサイズの違う生き物が存在しているのかという進化の過程、またそれぞれがなぜその大きさでなければいけないのか、ということを科学的に解き明かしていることが実に興味深い内容であったように思われる。その説明方法は誰にでもわかる内容のものから専門的なものまで多種多様であるが、専門的な部分を読み飛ばしてもなるほど!とわかるようになっているので、生物学とはどういうものなのか、ということも良くわかるようになっている。これから専門!!!にそのような方面に進みたいと思っている人にとっても、すこし興味がある人にとっても一読の価値のある本である。
本川 達雄氏の1992年の著書である。<BR>何となく聞いたことがあるような気がしていたが、結構なベストセラーであるらしい。<BR>手元のものも1996年の物ながら43版を数えている。<P>私は生物学に別段の興味があるわけでは無い。しかしながら本書を「組織のあるべき大きさ」に関する指針が得られないかという観点で手に取った。<P>結果的にその目的はある程度達成できた。<BR>本書の中で「仕事に役立つかも」という変な観点で読んだときに(^^;、参考になった文章を引用してみる。<P> 『技術というものは、次の三つの点から評価されねばならない。<BR> (1)使い手の生活を豊かにすること<BR> (2)使い手と相性がいいこと<BR> (3)使い手の住んでいる環境と相性が良いこと。』<P>「技術」を「道具」とか「開発言語」とか置き換えても良いと思う。<P>#例えば、何でもかんでもJavaで作ればいいと言うものではないだろう(^^;<P> 『実に科学とは単純明快で、悪く言えば節操がない。<BR> ここが科学のおもしろく、力強いところである。』<P>うーん、神の摂理・真理は人間には分からないので、仮説検証しか無いかもねぇ。<P> 『それに対し、植物やサンゴのように同じユニットが集まって<P> 出来ているものは、個々のユニットが小さいながらも全能だから、<BR> その一個をもとに全体を新たに作ることができるだろうし、<BR> 失ったユニットを再生する能力も強いのだろう。』<BR> 『こう見てくると、ユニット構造でできた群体は、<BR> 安上がりに大きなサイズになれ、<BR> 長生きし、捕食者に食べられにくい。』<P>一騎当千の少数精鋭野武士軍団かゲリラ軍団か、逆にどこを切っても金太郎か...<P> 『「デザイン」をその動物の拠って立つ論理と<BR> 言い換えてもいいだろう。』<P>企業や組織、集団のあり方(デザイン・形態)も、また然りというと、言い過ぎであろうか。