私が本書から強く感じ取ったのは「アメリカ海兵隊の軍事的非合理性」であり、副題にある「非営利型組織の自己革新」ではない。<P>『失敗の本質』にも書かれていたが、大東亜戦争で日本軍が負けたのは軍事的合理性を貫けなかったことに大きな原因があると思っていたので、その対極として、いかにアメリカ海兵隊が軍事的合理性に貫かれた組織であり続けたのかを知ろう思い、本書を手にしたのである。<P>しかしそこに描かれていた海兵隊の実体は、冷徹な軍事的合理性のみに貫かれた組織でなく、新兵訓練でしごかれた者同士の間に生まれる絆を重視し、数打ちゃ当たる式のマシンガンでなく一発一殺のライフルマンであることを基本とし、危険を冒してでも死傷者を収容すると言うものであった。<P>身を投じて敵手榴弾から仲間を救った黒人海兵隊員の名前がフリゲート艦の艦名になっている逸話などからも、誇りや絆や信頼と言ったものを基本としてアメリカ海兵隊と言う組織が成り立っていることを知らしめてくれた著作である。
戦争・軍事関係に関心がある方ならば満足できる1冊です。●「前衛基地の防衛」が主任務である草創期の海兵隊がやがて「敵前強襲揚陸部隊」として成長し、第2次世界大戦・朝鮮戦争・ベトナム戦争、湾岸戦争などを経て米軍のシンボルになる様子が興味深く描かれています。●「戦争学」などで戦史を俯瞰した後で細部に肉付けしたい人には格好の教材です。
筆者は経営学者で組織論が中心として研究している。過<BR>去にも、軍事関連で失敗から学ぶ研究を行っているが、<BR>今回は軍事オタク向けの本かもしれない。<BR>しかし、内容は海兵隊が何度も廃止の方向で検討されつ<BR>つも、生き残っているのはなぜかについての本であり、<BR>組織が自己正当化しているだけのように読める。