今は死語となりつつある『日本男児』の姿をこの達人たちに見たような気がした。誇り高き日本人として完璧な英語を目指した、その信念に深く感銘を受けた。そして、何のために英語を勉強するのか、その動機が改めて自分の中で再認識できた。英語を母国語とする人々から褒められた程度では、まだまだ、という筆者の言葉も身にしみた。類まれな天性の語学センスはもちろんのこと、すさまじいまでの熱意と習得にかける膨大な時間の中にこそ、天才が生まれるのだと、思い知らされた一冊だ。
と、外国のものは何でもすばらしいがごとき発言を日本人から聞くたびに、「それならとっととアメリカなりどこなり外国に住みゃあいいだろ」反射的に思ってしまう人間としては、まさに我が意を得たりという書。<P>真に極めれば相手の長短を呑み込んで相手に自分の真の姿を伝えられるようになるものだ。中途半場に相手の影響を受けると、そのすばらしいところばかりが目に付いて、「それに比べて日本は・・・」になってしまう。<P>自国のことを十分に知らない(説明できない)似非アメリカ人(イギリス人)になったところで、相手のrespectなど得ることなどできないことがこの書からわかると思う。<P>もうひとつすばらしい点は、単に英語圏に留学したり、住んだりするだけで英語ができるようになる、ましてや3週閡や半年で英語ができるようになる、などということが如何に馬鹿げた誤謬かを示していることだ。<P>初学者にこそ是非とも読んでほしい。これを読むか読まないかでその人の学習方向方針が大きく変わりうる。それほどの一冊だ。<P>蛇足、といっては著者に失礼だろうが、結構クスクスと笑わせてくれる楽しい本でもある。
新渡戸稲造、岡倉天心、斎藤秀三郎、鈴木大拙、幣原喜重郎、野口英世、斎藤博、岩崎民平、西脇順三郎、白洲次郎と各界で英語の達人としても有名な錚々たる著名人の英語修行時代や英語力を駆使した功績などを紹介しています。<P>ここで紹介される学習法は、簡単には真似できないような代物ばかりですが、その意図するところは大変参考になりましたし、英語で伝える内容をブラッシュ・アップさせることの重要性も改めて痛感しました。<P>ただ、所々で著者が英語学習法の持論を展開しているのが鼻につくかもしれません。母語話者至上主義への批判や学校英語の重要性は個人的に同調します。しかし、本論の流れを考えて、もう少し控えめに展開した方が説得力も出てきたのではないかと思いました。<P>それにしても本物の英語力を向上させたい人にとっては、モチベーションを上げてくれること間違いない良書だと思います。