『バカの壁』や『死の壁』はどちらかといえば嫌いですが、『まともな人』と『こまった人』は面白い。<BR>素顔の養老氏が語りかけているような、エッセイです。堅苦しくない、けれども誠意が感じられます。<P>ただし著者の専門外であることに関しては、かなりいい加減(不適切なら主観的とでも言い換えましょうか・・・)に書かれているので注意しましょう!
雑誌の中央公論の連載をまとめた本。軽妙なエッセイ風の語り口。ちょっとゆるゆるで脱力しすぎてるんじゃないかと思うくらい。<BR>でも、どの文章も底には冷徹で硬質なものが基盤として流れている。何だかんだ言って、養老さんって結構硬派なのだ。そして徹底した理科系人間なのだ。結構ゆるゆるだけど。<BR>ゆるゆるな中に時々ハッとするような文句が出てくる。例えば最後の「言葉と文化」の中で、西欧語の冠詞に該当するものが日本語にもある、それが助詞の「が」と「は」である。なんていうところは目から鱗である。さらに、中国語には冠詞もしくはそれに該当する機能がない、だから中国人は概念と感覚の区別が弱いのかもしれない、と続く。いや、ここまでくると「ほんまかいな?」と疑問も出てくるのだが、中国語については素養がまったくないのでなんともいえない。養老さん自身も本当かどうかは「中国語を学んでみないとわからない」と言う。やれやれ、こういうところがゆるゆるなんだな。<BR>でもおもしろいからいいや。論文じゃないんだし。
筆者が特定の時事問題や周辺の出来事に対する意見を独特の言い回しで<BR>述べています。’小泉首相への手紙’の章は読み応えがありました。<BR>全体的に、もはや世には絶望しているんだけど、<BR>いや元々望みなんて抱いてはいないんだけど、少しくらい言わせてもらってもかまいませんか?。<BR>そうは言っても、その実すごくこの国の行き先を憂いているんですよ、というスタンスのような気がしました。<BR>元々そうでしたが、最近の養老さんの文章からすごくそれを感じます。<BR>これを読んで、自分はどう考えるか?という風に対話しながら読むといいのでは。