三略は兵法書ですが、富国強兵を主眼として内政に関する戦略的原則が述べられています。<BR>現代のビジネス・経営にも全く当てはまる点からも、とても素晴らしい内容です。<BR>孫子とは異なり、戦争の手法に関するものではないので、ビジネス書としては三略の方がお奨めです。<P>三略の特徴は、人間の心理の本質を把握し、これに基づいた人事策を献じているところです。<BR>優れた人事から強い組織を作ることが、国家経営(内政)にしろ、企業経営にしろ、時代を超えた普遍的な戦略だと教えてくれます。<P>本書では原文の記載は無く、書き下し文と現代語訳だけなので、少し寂しい気はします。<BR>とはいえ、手軽に読める分量ですので、現代社会でも通ずる古典兵法を探しているビジネスマンには、最高の名著だと言えます。
この書は漢の高祖劉邦の軍師であった張良が、若かりし頃に黄石公という仙人から六韜と共に授けられたといわれ、その両著の著者は太公望といわれております。もっともこの逸話は伝説であり、また後世の兵法家が太公望の名前を借りただけというのが実情のようです。<P>しかし内容に目を転じますと、千年以上の時を経てもそれほど変わることの無い普遍的な道理が記されており、現代においても充分応用可能な部分もあるかと思います。<P>他の兵法書と比べてみますと、孫子は主に将軍の視点から、この三略は君主或いは宰相からの視点から書かれています。したがって人材運用や人心獲得、信賞必罰や率先垂範などについても書かれており、軍事学というよりは政治学に近いかも知れません。<P>小説家の方が書いているので現代語訳も読みやすいです。