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論文の教室―レポートから卒論まで ( 戸田山 和久 )

~ 「こういうレポートの書きかたマニュアルみたいなのは、卒論とかで尻に火のついた学生が読む本だ」。たしかに、この本を手にとる人たちの多くは、そういった学生だろう。しかし、すべからくレポートに論理的思考が表現されているべきなのだとすれば、「レポートの書きかた」は「思考の方法」でもあり得る。そして、本書にはそのような思考のための方法が書~~かれている。なんといっても、著者は一流の分析哲学者である。思考の鬼である。その人が、かなり懇切丁寧に書いている。それなのに、とーっても読みやすい。冗談までバンバン言ってる。ぜひ、まだ尻に火のついていない学生も、そもそも学生でない人にも読んでほしい。<BR>~~<BR> ところで、土屋賢二を意識してると思しき冗談はけっこうスベり気味だと思う。「わかってやっている」という言い訳は却下。~

とある大学の研究室サイトで紹介され、すぐに図書館で借りて読破したが、やはり買うことにする。古典と言われる木下是雄(1981)『理科系の作文技術』と比較すると、ノウハウ本としては格段に優れているし読みやすい。悪い例を具体的に示して改善していく様は、現役の教師でなければできない芸当だ。ダメ学生のなれの果てである社会人にも勧めたい。電子メールや電子掲示板の議論を少し知的にできるかもしれない。

形式ばかりではダメ,という人もあるが,本書が説くような形式は,確実に豊かな内容を駆り立てる。<P>形式は万人に共有可能に開かれている。だから形式が駆りたてた内容は,万人に共有可能に開かれたものとなる。<BR>逆に内容は,本来その人・その場のみだからこそ価値がある。だから内容が駆りたてた形式は,その人・その場だけのものに終わる。<P>本書は,万人の形式によって,その人ならではの内容が万人に共有可能になる道を,楽しく説ききっている(特に1章)。<P>ただ,II部の論証の基礎については類書と差別できるだけの特徴はなく,少々退屈。もっとも,II部のおかげで,これ一冊あれば論文執筆の基礎が一通りわかるようになっているので,教科書としてはうってつけの良書であることは間違いない。<P>論文のみならず社での報告文等なども,本書に沿ったものであれば,読み手にとってもとてつもなく効率があがるだろうにと思う。出版業に多少関わる私だからか,特に切実に,そう感じたのでした。

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