いわゆる学校英文法は,英語の裏側で動いているはずであろうと学者が頭の中で構築していった規則の固まりのようなものですが,実際にデータに当たってみると例外だらけで,規則と思われるものはご都合主義の説明だったりします。文法は「学ぼう」とすればするほど深みにはまり,わからなくなります。結局は学校英文法は無数に存在する英文法の一つにしかすぎないもので,絶対視すべきものではないものです。大西さんの著作は,時には無理やりと思えるようなやり方で,理論(のように見せかけたもの)で固めようとする学校英文法を記述する人と違い,感覚を大切にしており,コミュニケーション活動で必要な文法の姿を示しているように思います。英文法の深みにはまる前に,大西さんの観点で文法についての発想の転換をすることをおすすめします。<P>一つだけ気になるのは,補語の説明で「=」を使っていることです。たとえば,目的語と補語を動詞が従える場合は,「目的語=補語」としてしまうわけですが,これは学校英文法でやっていることで,数学記号の乱用に思えます。結局目的語にどんな属性があるかを補語で表しているという見方のほうがよいように思えます。
オーラル・コミュニケーションとは言葉を介したイメージのやりとりである。決して言語そのものや文法を受け渡しするわけではない。伝達手段が外国語であれ日本語であれ、互いの脳内イメージをいかに正確に送受信するかがコミュニケーションにおいて肝要となる。従来、学校で教えられてきた四角四面で規則だらけの英文法の弊害を告発し、<感覚・イメージ>重視の新しい英文法の在り方を示したのが本書である。"the"や基本的な動詞などを俎上にのせ、その語にどのようなイメージが付帯しているのかをヴィジュアル付きで解説している。著者の英語学習理論の一端を紹介した入門書ともいえるが、これまで<大西セオリー>に馴染みのなかった読者にとっては、英語的視界を開かせてくれる恰好の一冊となる!とだろう。英語がとっつきやすく、もっと身近に感じられるようになるはず。
内容は素晴らしい! <BR>血の通わない規則の集まりである英文法。本の内容は、これに代わって、ネイティブの頭の中で行われている「であろう」イメージを身に付けることで、ネイティブならではのニュアンスを理解し、身に付けるという試みだ。こんな本にもっと早く出会いたかった。<P>but... 文章は三流、もっと下手かもしれない。分かりづらい! 文章がまずく、分かりづらいのは、担当編集者の責任だ。しっかりしろ! 分かりづらい文章を少しでも改善するために重要箇所を太文字にしたり、下線を付けたり、記号を付けたりの工夫がされている。しかし全くダメ。文章の構成が成っていない! 内容が素晴らしいだけに非常に残念。そういう訳で☆4つ。☆一つ減点。<P>付け加えると、この本は既に出版されている大西氏の著作のダイジェスト版のようである。本格的に大西氏の理論で学ぶ方には、native speakerシリーズやENGLISH BRAIN FORCES の方が詳しくて良いようだ。