ハリウッド人脈ネットワーク、論文引用ネットワーク、<BR>アルカイダネットワーク、細胞ネットワークなどなど、<BR>さまざまな事象を取り上げながら、<BR>ネットワーク理論という複雑系の新分野を、<BR>その歴史とともにわかりやすく解説している。<BR>21世紀はネットワークが学問の主流になるという彼の主張には十分に説得力がある。<BR>雑学としても十分に面白いし、複雑系好きの人にはおすすめです。
世界のさまざまな事象をネットワーク的な思考法に結びつけて解説する。かなりこじつけた事例もあるが、目から鱗が落ちる例もあり。秩序とは偏りであり、べき法則が適用され、相転移としての臨界が存在する、と。この本を読んだから、直接仕事に役立つようなことはないが(ネットワーク社会ではノードたる個人がネットワークを左右することはできないから)、ものの考え方として知っておいても良いだろう(極めて多数のノードたる個人がものの考え方を変えればネットワークが変わるから)。
最初は個別で単純であったものがリンクされ一定規模になると自己組織化をはじめる。これはネットワークにも生物学でもハリウッドの映画スターの共演関係でもAIDSの感染経路にも見られるという主張だ。インターネットの普及によりかつては限られた分野もしくは経験的にでしか確認できていなかったことがより実証的に確認できるようになったという。本書であげられている事例が最近よく日本経済新聞で取り上げられていることが多いので関心をもった。本書と関連して大前研一氏の「invisible continent」、リチャード・ブロディ の「ミーム」、リチャード・コッチの「人生を変える80対20の法則」なども読むことを推奨する。 インターネット社会を創造しつつある、われらの世代には大いに得るものがあるだろう。