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| マルチチュード 上 ~<帝国>時代の戦争と民主主義
(
アントニオ・ネグリ
マイケル・ハート
幾島 幸子
)
邦訳が待たれていた「帝国」の続編です。原書の出版からとても迅速に翻訳されたと思います。ネグリ/ハートの本がNHK出版から出るというのも時代を感じます。<BR> 文章は自然で読みやすい日本語です。本書は読みやすい文体が採用された「帝国」よりもさらに読みやすくなっています。週末の二日あれば十分読み切れるでしょうし、大学生以上の方なら問題なく理解できると思います。これはたくさんのひとに読んで欲しい、という著者らの意図的な執筆ポリシーでしょう。翻訳についても一言しておくと、「帝国」の翻訳者が監訳しており用語が統一されています。内容は、第一部「戦争」で、戦争が例外状況ではなくなっており、<帝国>の管理の手段と化している現実が暴露されます。第二部「マルチチュード」でグローバル時代の資本主義の分析と、なぜマルチチュードの主体が「非物質的労働者」なのかがマルクスを引いて説明されます。そして最後の第三部で、民主主義の確立が急務であり、それはマルチチュードによる<共>の生成を通じて可能となることが力説されます。<BR> 本書は著者らが最初に断ってある通り「哲学書」であり、具体的な改革が提言されているわけではありません。しかし、著者らの政治姿勢に共感するしないを問わず、細部に渡って教えられることの多い書物だと思います。「帝国」を読んでいることが前提されているようですが、本書が初めてでも十分理解可能です。
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