非人間的な主人公深井零と,高性能戦闘機「雪風」との関係を軸に,コミュニケート不能な敵<ジャム>との戦闘がリアルに描かれていく。初めはその精緻なメカ描写のカッコ良さに魅かれて読み進めたのだが,次第に明らかになる<ジャム>,そしてコンピュータ群の意識に戦慄し,後は衝撃的なラストまで一気読みだった。と,これは私が旧版を読んだ時の話。<P> 約20年の時を経て,加筆訂正された本書を読んでみたが,全く古さを感じなかった。<BR> 加筆訂正の内容は,構成自体を大きく変えるようなものではないが,旧版を既読の方も,これを機会に再読されてはいかがか。<BR> 本書は間違いなく日本SF史に残る傑作である。未読のSFファン,読むべし。
DVDを観て、原作に興味を持ち、購入しました。表紙、タイトル、いかにも<BR>男性好みで、最後まで読みきれるか不安でしたが・・・面白い!<BR>細かなメカの描写、戦闘シーン、などは、やはり映像の手助けなしには<BR>読み進められませんでしたが、「人間とはなにか」と言う普遍的なテーマ<BR>が底にあるので引き込まれます。<P>機械にのみ心を許す主人公、その報われない想いが悲しい。<BR>「あたしは、電化製品の説明書だってよまないわ!」と言う女性にも読んで<BR>欲しい。
20年も前と考えられぬほど、恐ろしく完成度の高い作品。<BR>親友のブッカー少佐を除けば、信じられるのは機械である雪風のみ、という主人公・深井零と、<BR>戦闘機の機械知性である雪風との、外界意識の齟齬によるすれ違いが哀しく、そして恐ろしい。<P>しかし、この一冊だけでは、このシリーズの神髄を味わったとは言えない。<P>続編の『グッドラック 戦闘妖精雪風』を続けて読む事で、このシリーズの真なる素晴らしさが見えてくる。<BR>この二冊を続けて読む事で、この作品がSFとしてだけでなく、哲学書としてもエンターテインメントとしても一流であることが分かるはず。