物語が始まり、あっと言う間に殺人事件が発生する。<BR>衝動的に起こしてしまった殺人を<BR>隣に住む高校の数学教師が巧妙に隠蔽する。<BR>執拗に迫る警察の捜査<BR>すべてを計算しきった男を動かすのは<BR>純粋な献身だった・・・・。<BR>テンポの良さ。ほどよい人物描写。<BR>主人公が人生を掛けて守ろうとする<BR>女性の風貌も性格も、最小限しか描写されず<BR>それがかえって読者の想像をかき立てます。<BR>絶対に映像化されるでしょう。<BR>2時間ドラマでなく、ちゃんとした映画で映像化されることを<BR>願ってます。
タイトルと新聞広告を読んでも内容がピンとこなかったし、湯川博士シリーズは短編でしか読んだことが無かったので購入するにはちょっと迷ったけれどけど買って大正解!人間の物語でもあり、推理小説的ミステリーでもあり。<BR> 最初は、初期の頃の森博嗣を彷彿してしまったが、そんなのも一瞬。一気に読み終えてしまいました。その読ませる力って本当にすごい!<BR> 伏線の張り方から最後のトリックはすごいっ!<BR> その動機を愛情と言うにはとても哀しすぎる。<BR> ラストシーンは当然といえば当然なのだろうけども、悲しみと悔しさとが漂ってしまう。ミステリーなんだろうけど心を深く揺さぶられました。
夫と別れ、以前はスナック、今は弁当屋で働く靖子が、娘に十分に愛情をもち、周囲の人々に誠意も持って、暮らしている。決して裕福とは言えないであろうし、不幸にも直面するのだが、彼女が幸せに生きていると感じさせるのは、自身の行動の価値基準が自分の内面にあるからではないか。筆者が描きたかった一方の主人公像は、そこにあるように思う。高校の数学教師だる石神も、自身の行動の価値基準がまぎれもなく自身の内面にある。この著を一気に読みながら、猪瀬直樹の「日本凡人伝」に登場する人物像との共通項が、そこにあることに思い至った。