一般的に、レヴィ・ストロースなどに代表されるフランス構造主義について、色々紹介本が流布しているのですけれども、紹介本自体が難解であると言うふうに、とっても難解で秘教的である。と言うイメージが広がっています。<P> しかし、この本は、老人に対する公開市民講座で話した内容を中心にして、できるだけ平易にフランス構造主義の面白さを伝えようとしています。<P> この本で取り上げている構造主義哲学者はミシェル・フーコー、ロラン・バルト、クロード・レヴィ=ストロース、ジャック・ラカンの四人で、筆者は彼らを「構造主義の四銃士」として、その活動を面白おかしく紹介しています。<P> どの思想家の思想を紹介する場合でも、著者は身近な例を引き出して読者の興味を引こうとしているとこ!が垣間見られて面白いものです。<P>(例えば、フーコーの話では、小学生に「三角座り」を導入することで生徒が先生に反抗できないようにしたことや、レヴィ=ストロースの話では、「寅さん」の話を引き出して、婚姻と親族関係との間に生ずる対立を説明したり、ラカンの話では、「こぶとり爺さん」の話を出して、エディプス期を説明したりしているところに、それが現れています。)<P> この新書は、市民講座で著者が話した内容をもとに構成されていますので、一般の読者が構造主義を理解する一助となることは間違いありません。
構造主義に関する本はどれも難しい。浅田彰の『構造と力』が最も有名だが、<BR>自分(20)のような初学者がとうてい理解できるような代物ではない。<BR>新書では橋爪大三郎の『はじめての構造主義』(講談社現代新書)が有名で、<BR>高校生に語りかけるようなやさしい言葉で書かれているが、レヴィ=ストロース<BR>に関する解説が主で、少し物足りなかった。<P>さて、『寝ながら学べる構造主義』は、構造主義台頭前夜の思想家(マルクス~<BR>ニーチェ)と、構造主義を切り開いたソシュール、フーコー、バルト、レヴィ=<BR>ストロース、ラカンらの各学問からのアプローチが紹介されている。<BR>構造主義の入門書としてはかなり網羅的で、「寝ながら学べる」ほど易しい<P>かどうかは別としても、入門用としては必要十分!説である。<P>ただ、下の評者の方が指摘しているとおり、最後に総括としての構造主義の<BR>解説がほしかった。このあたりは、竹田青嗣の『現代思想の冒険』(ちくま<BR>学芸文庫)で学べるかもしれない。<P>全体的に、変に迎合的でもなく、不必要な難しさもなく、オトナが読むのに<BR>とてもよい入門書だと思った。
文章は読みやすく、基礎知識がなくても理解が容易かったです。現代思想が専門ではない人間だが、知的な刺激を得たいという人にお勧めです。すでに多くの人が指摘しているように、これだけで構造主義が学べるわけではないということは、素人の私でも感じることですが、私のような入門者には、いきなり難解な本を買ってきて本棚に飾るだけよりも、この本を読んで好奇心をかきたてられて、次の本に移行するというほうがよっぽど建設的ではないかと思います。今の私にはこの本を批判する力はないけれど、もしも何か間違った記述があったとしても、それは将来気付くだろうから大きな問題ではないと思う。それよりも、新しい分野に対して好奇心をかきたててくれたということで、星5つ。