司馬遼太郎の名作『竜馬がゆく』の第二巻。この巻では、剣術修行を終え北辰一刀流小千葉の塾頭にまで成り上がった竜馬の土佐帰郷から、土佐藩脱藩に至るまでの竜馬の動向が描かれている。この巻では、比較的ゆっくりとした時の流れの中で、竜馬の気持ちの変化や世論の変化、維新志士達の変遷が繊細に描かれており、全巻で劣等感を否めなかった竜馬が藩を捨てて、いよいよ日本全国へと旅立つまでを辿っている。その間、起こった史実は数知れず、安政の大獄から桜田門外の変など、誰もが知る日本を揺るがす大事件の中で、一人揺れる竜馬の心境は多くの読者の心を動かすに違いない。<P> その歴史の中で竜馬が出逢う人物は、必ずしも維新後の明治で卓越した功績を残した者ばかりではない。寧ろ、土佐藩の厳格な身分社会にあっては、多くが尊王倒幕運動の中でその命を散らせたり、或いは佐幕派として惜しむべきその才能を失ってしまった人物も多い。そうした動乱の世の中で、結局は彼等と同じく尊い命を犠牲にしてしまう竜馬が残した数々の偉業の基盤がこの一冊に凝縮されているように思う。時は動いて、この後様々な奇跡を起こす竜馬の、真の第一歩は世を見つめ悩んだ末の脱藩がそれに等しいわけで、その脱藩に至るまでの竜馬の由無し事さえも、今後の日本を揺るがす重大な要素の1つとして描かれている。
僕の場合、ここ2ヶ月で『新史太閤記』『梟の城』『功名が辻』『燃えよ剣』と読み進め、5冊目になります。<P>二巻では、中岡慎太郎との出会いから土佐脱藩までが描かれています。<P>黒船によって攘夷の空気が高まる土佐で、竜馬は一人、他の者とは違う考え方に至ります。<P>脱藩後に竜馬はどうするのか。<BR>土佐改革を狙う武市半平太はどうなっていくのか。<P>先が気になる一冊です。
剣術の修行を極めつつある竜馬<P>江戸では、これから時代を動かすことになっていく様々な人物との出会いがあります。武市半平太もその一人。<P>尊皇攘夷の思想に揺れ動く日本にあって、先進の薩摩、長州に遅れまいと武市は土佐勤王等を結成します。<P>一方の竜馬は、上士、郷士の意識の抜けない旧態依然とした藩では、天下の大事をなすことは不可能であると、脱藩を決意します。<P>脱藩は本人のみではなく、その血縁者にまで大きな影響を受ける行為。実行にはとんでもない大きな決断が必要となります。その決断にいたる竜馬の数々の出会い、考え、行動どれもが輝いています。<P>竜馬が見ていたのは常に、藩ではなく、日本全体でした。でもまだここではそこまでの状態にはなっていません。ただ、『こんな男が日本を動かしていくのだなあ。』という言動が随所に見られます。