明治時代。<BR>江戸幕府が崩壊し新しい価値観が生まれた時代。<BR>立身出世欲がある人間で才能があれば誰でものし上がっていけた時代。列強の圧力が益々強くなってきていた時代。<BR>そんな時代の雰囲気を的確に捉え、時に鳥観的に時にはその人物の目線からその人物になりきった台詞まわし。<BR>どれをとっても司馬氏の冷静なデーターから基づいたストーリーと明治の人間を賞賛する氏の情熱が入り交じった圧巻の物語であった。<BR>1巻目は主に好古を中心に物語りが進む。後の陸軍英傑とはとても思えないノホホンとした人物像のギャップが面白く、ただお金の問題で陸軍学校に入ったというのも時代柄だなあと感じる。
恥ずかしながら、初めて司馬遼太郎の作品を読んだが、いいですね。<BR>幕末から明治の松山出身の秋山兄弟、正岡子規3人を通しての激動の史実。<BR>細かい描写はさすが。大河ドラマが決まっているとのことなので、早速八巻まで買い込み読むことにした。
日露戦争がメイン。極東の小さな新興国が、世界の大国を相手に力いっぱい戦ったお話です。教科書では数行で終わってしまい「ああ、ロシアと戦って勝ったんだな」としか感じられない出来事は、その実、この国が当時の国力をすべて投入し、つなわたりにつなわたりを重ねてギリギリで手にした必死の一勝だったのです。<P> 日本が世界の中でもかなり恵まれた国になった今ではなかなか分かりにくい雰囲気。明治という時代は、みんな一生懸命だったんだなあと目頭が熱くなる作品です。ワールドカップが終わった今ならその気持ちが少し分かりやすいかもしれません。<P> なお、この作品を読んでから子規の『歌よみに与ふる書』、与謝野晶子の『君死にたもうことなかれ』などを読むと心を打たれます。