率直に、やっぱり面白いって思いました。<BR>1作目からそうだったんですけど、買って即、読み始めてその日のうちに2,3時間で読み終えてしましまいました。<BR>私は普段から多くの小説を読むたちではないので、小難しい論評はできませんが、率直に面白いと思いますよ、本当に。<BR>この作品に対するほかの方のレビューを見ても明らかなように、1作目から読み込んでおられる方にとっては物足りないかもしれません。<BR>しかし、カラーギャングの抗争から始まり、近作でもかなりネット社会の裏事情などが題材となっているため、大変タイムリーで、リアリティーがあります。<BR>特に東南アジアの少年の話はかなり、胸を打たれました。<BR>私自身、学生時代にああいった軍事政権のやってきたことなど、ありえない位ひどいことがされていた事を講演会などで聞き、かなり失望した経験があるからです。<BR>『マコト』を介してさまざまな事象を題材にできるこの作品は、ある種の偉大なるマンネリともいえます。<BR>ぜひ一読ください。
「池袋ウエストゲートパーク」シリーズの4冊目。それぞれの話は独立した短篇として充分楽しめるのですが、このシリーズ未読の方はぜひ1冊目から読まれることをおすすめします。「知っている」と思わずニヤリとしてしまうさりげないエピソードなどが本文中に挿入されているから。今度はどんな事件が起こって、それを主人公がどうやって解決していくのだろう、というストーリーのメインロードよりも、寄り道とか道端とか、主人公の日常生活の過ごし方、その呼吸、佇まい、といったモノにより興味を覚えるようになりました。それだけ主人公が魅力的なキャラクター性を勝ち得ているということだし、作者自身もしっかりと書き込んでくれる。「長期安定」というコトバを想起させるほど、今作も期待を裏切ることなく安心して楽しめました。
前作の時も感じたが、勢いが徐々に無くなっている気がする。マンネリといってもいいかもしれない。マンネリを打破しようとする努力は感じられるが、今ひとつ功を奏していない。あと、マコトがクラシック音楽や現代音楽を聴いたり、フランス文学に言及するのも最初は新鮮に感じられたが、段々鼻につくようになった。この辺は作者の趣味を反映しているのだろうが。今のマコトに、「俺はたいしたやつじゃない」みたいなこと言われても、嫌味にしか感じられないんだよね。結局マコトも大人になったということか。でも、そうなるとこのシリーズの魅力は徐々に薄れていくような。