・日本の「劇場のごとき閉鎖性」<BR>演劇舞台の「空気」を尊重して、女形を「男だ!」と大声で誰も指摘しないのと同様、日本ではその時のムードにそぐわない事実は隠す。<BR>上司のために、部下のために・・・。<BR>それは正しいことなのか?何がムードを決定するのか?<BR>その根本は各自の内なるところで、その時勢にあった正しきものを絶対視しているからである。<BR>・一方向に振れやすい日本人<BR>帝国主義なら帝国主義に、民主主義なら民主主義にと、簡単に絶対的なものを切り替えられる日本人。ところが、キリスト経やイスラム経・ユダヤ経など旧約聖書圏、つまり地球の大部分では、正しいものは絶対的なものだと教えない。正しい行いを守っても災いがあることを教え込む。<BR>一方向に信じきって、その時の正しさ、つまり「空気」にながされる日本人は、ものごとを相対的に捕らえることを知らない。<BR>正しいことは正しくて、正しいことが、間違いである可能性を思案することが大きく欠落している。<P>日本人の大部分は、もう「長いものに巻かれる」苦しさに気付いているはずである。私は、山本七平氏の聖書関連も読みたいと強く思った。
「比較文化論」とおなじエピソードが二回使われているせいか、やや構成の粗雑さを感じる。それと、文章の運びに、ほんの少し品位に欠けるものを感じる。<P>「空気」については戦艦大和の例と公害の例が引き合いに出されているが、公害の方はやや強引である。さらに「空気」を臨在感で説明するところは、どうも自分の得意分野へ話題を引き込もうという意図を感じてしまう。<P>対象や命題を絶対化すると、それに振り回されるという指摘はごもっとも。それにしては、「空気の研究」という表題は大袈裟すぎはしないか。わたしも山本七平の本は全て面白いにちがいない、という絶対化を避けて、善し悪しを見極めていく相対思考に徹したい。
日本の経営他にも造詣の深かった著者(故人)の代表作の一つ。 この本に書かれている日本人の意思決定に関わる洞察は、日本の他の多くの経営・マネジメント書等で引用されている程、優れていてしかもユニーク。 <P>「空気」が何かを決定していくというのは、きっと外国人にはわからない感覚だが、日本人にとってはあまりに身近で、この本に指摘されるまで気が付かないかも。 <P>若い人には若干読みにくい文体かもしれないが、一読の価値はある。