一年前にニュージーランドを一人で旅していたとき、南島のユースホステルに置いてあった文庫本が星野道夫さんとの出会いでした。<P>私は一気に読み終えました。星野さんが一人で旅をしている姿と自分の姿が重なったのです。人と人とのふれあい、出会いと別れ・・・・とても強く印象付けられました。<BR>そして日本に帰国して、また私は星野さんの本と出会いました。<BR>それがこの「旅をする木」です。<P>読むたびになぜか涙が出てくるんです。<BR>理由は分かりません。でも星野さんの思いが痛いほど伝わってくるんです。静かな涙です。でも、とても熱い涙です。<P>こうして私の夢は「アラスカの大地を踏むこと」となりました。
1995年に出た単行本の文庫化。<BR> 『旅をする木』というタイトルは、「いったい何の本なのだろう?」という疑問を感じさせるだろう。実際、私も「旅をする本」という旅行記だと思って購入した。しかし、これはアラスカの動物学者プルーイットの著書に登場するトウヒの木のことなのである。このトウヒの木の運命が星野道夫の人生に重ねられているのである。どのような物語であるかは読んでのお楽しみ。<BR> 星野道夫はアラスカに暮らした動物写真家である。しかし、本書の単行本版が出た翌年にクマに襲われて亡くなっている。本書は星野の遺作ということになる。語られているのは、人間も自然の一部として生きているのだという思想。長年に渡ってアラスカの大自然、多くの動物と向き合ううちに到達した結論である。<BR> 雑誌連載や書簡形式の短い文章が多く、全体としての一貫性に欠ける。ぽつりぽつりと思いつきが語られているだけで、説得力に乏しい。そのため星野が見つけたという結論には共感できなかった。自分語りが多く、すぐに感傷的な思い出や事件を引き合いに出す点にも、エッセイストとしての未完成さを感じた。
星野さんはアラスカに住み,アラスカの自然の中で生きていました.<BR>アラスカという厳しい自然の中で,本当の自然の中で,生きるからからこそ<BR>感じる自然への恐怖,驚き,喜び,感謝が素直な文章で描かれています.<BR>都会で自然と関わりの薄い生活を恥じ,<BR>自然について考えさせられる本だと思いました.<P>自分にとっては,出会えて良かったと感じる本の1つです.