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| 翔ぶが如く〈9〉
(
司馬 遼太郎
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薩摩兵は「上代の隼人が翔ぶがごとく襲い、翔ぶがごとく退」き、果敢な戦闘を展開するが、徐々に、数で勝る政府軍に押し戻され、ついに鹿児島城裏の城山に逃げ込む。<P>薩摩軍の2将、桐野と篠原には全く作戦も戦術もなく、軍の指揮官というよりも1個のサムライであった。これでは物量がものをいう近代戦はでは到底勝てない。300年前の関が原でさえ、勝てなかったのではないだろうか。そういう人物を近くにおき将にした西郷に、人を見る眼は果たしてあったのだろうか。西南戦争は、戦争というより、無謀なサムライの一揆だったのだ、という印象を強く受ける。
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