題名は「質問する力」とありますが、質問する力を教える本ではなく、質問する力が大切だと言うことを書いた本です。解説を書いた担当だった編集長は題名を「国が国民を騙す時代」としたかったそうですが、私は本の内容からこちらも的を得た題名だと思いました。この本には政府の愚かな行為の数々や、現在騒がれている郵政や道路公団などの問題について書かれていて、読んだなら多くの人が「政府は何をやっているんんだ?」と政府の無能さに怒りすらおぼえる方もいると思う。<BR>ですが我々国民が他力本願で、感情論だけで論理的思考で日本の社会を考えなかったことにあるのを理解することが大切だと思います。<P>ですから、この本を読んで感想を述べるだけでなく、問題は読んだ後に論理的思考で現在の日本の社会を分析し、他力本願ではなく自分で答えを出すように心掛けるかどうかだと思います。 ですから、大前研一氏の案をそのまま鵜呑みにするのではなく参考にし、論理的思考で世の中の問題を一つ一つ考えるきっかけにするが大切だと思いますし、それが大前研一さんの狙いなのだと思います。<BR>(ちなみに他の多くの大前研一氏の書も一貫してそうだと思います)<P>以上の意味で、最近の様々な日本の問題や物事を論理的思考で考えるきっかけになる書として、とても有益な書の一つだと思います。おすすめです。
本書はSAPIO誌などに発表してきた内容をわかりやすくまとめたもので、プラザ合意以降の日本の状況を独自の視点と資料で分析している。まったく大前氏のものの見方には、いつも感心させられます。<BR>本書のタイトルの「質問する力」というのは、「疑ってかかること」とも言えるでしょう。最近の若い人たちはすぐに「正解を欲しがる」傾向がありますが、世の中にはその時点での選択肢や妥当解しかない場合も多いものです。そういった疑問を持つことの大切さを著者は伝えたいのでしょうが、どちらかというと著者の見解のご披露になっている部分もあります。
大前研一氏の著作はかなり前から読んでいるが、基本的な主張は一貫している。本書はそれを質問する力という観点から論じ、現在の問題を具体例を挙げて説明しているもの。大前氏の本をよく読んでいる者としては、その主張にあまり目新しさは無く(逆に10年以上も前から一貫とした視点・主張をしているすごさがある)、第五章の「質問する力を育てる」、第六章の「説明する力」はその延長線で考えると、それまでの復習の様なものであり、私自身がこの本で推薦できるのは第四章「質問せよ、さらば開かれん」の中で取り上げられている時事問題への考え方の所です。著作の時点とこのコメントを書いている時点が異なり、一部主張の中には多少?と思う部分がありますが、それ以外の幹なる考え方についてはさすがと思わせる明晰な分析がなされています。その様な分析をする為に、どの様にして既存概念・前提条件を打ち破る質問を設定したのかをよく読み取るべき本です。