ごきげん;機嫌のよいさま 楽しげな様子<BR>捨て子;親、あるいは保護者から捨てられた子供<P>「ごきげんなすてご」<BR>いま流行中の言葉で言うなら、“ありえない”表現だな。<BR>そう思ってこの本を手に取り、<BR>そのやさしそうな挿絵を目にして、<BR>結局家まで持ち帰りました。<P>たとえば嫁姑の問題。<BR>昔から続いていて、そしておそらくこれからもずっと続いていくであろう問題。<BR>この本で扱われているのは「下の子が産まれちゃって、寂しい思いをしているおねえちゃん」です。<BR>この「上の子と下の子の問題」も、きっとずーっと続いていく問題。<P>ある日おかあさんが「おサル」を抱いて戻ってきた。<BR>全然かわいくないのに、おかあさんは「おサル」ばっかりをかわいがる。<BR>つまらないつまらないおもしろくない。<P>女の子はついに「捨て子になってやる」と固く心を決めて家出をします。<BR>おかあさんは「いってらっしゃい」と送り出して……。<P>ダンボールにうずくまって<BR>拾ってくれそうな人たちに愛想を振りまく女の子。<BR>でもなかなか誰も拾ってくれません。<BR>笛を吹き鳴らしても、「かわいいすてご」と書いた旗を振り歩いても<BR>やっぱり誰も拾ってくれません。<P>そんな強がりな女の子の心の行方が、<BR>素直に、手に取るようにあらわれています。<P>ずっとずっと頑張ってはりつめていた気持ちが<BR>ほぅっとゆるむラストシーン。<BR>一緒に読んでいた娘は、私の手をぎゅうっと強く握り締めてきました。<P>そうだった。<BR>この子はたった1歳のとき、おねえちゃんにされてしまったんだった。<P>下の子が産まれて、<BR>少しだけおにいちゃんおねえちゃんに寂しい思いをさせてしまっているお家の方へ。<BR>もしかしたらお子様と一緒にこの本を読むだけで、<BR>いろんな問題を解決できるかもしれません。<BR>少しだけみんな、やさしくなれるかもしれません。<P>「あとがき」には、このお話が生まれたときのエピソードが書いてあって、<BR>作者である“いとうひろしさん”の優しそうな人柄に触れることもできます。
兄弟がいて、第一子で生まれられた方ならどなたも経験があるであろう。自分から弟もしくは妹に親の愛情の眼差しがうつりかわったときのなんとも言えないショック。そんなとき、この本の女の子は自分から捨て子になります。それでどんな家に自分がもらわれていくのか、たくさん夢を見ます。そのうちに、犬、猫、カメがやってきて、捨て子の仲間になります。やがてカメがもらわれ、猫がもらわれ、犬も。自分だけに愛情が注がれる家に、おさるの弟がいない家にと思いつつも女の子はひとりぼっち。だんだん元気がなくなります。そんなとき、「おや、こんなところにすてごがいるよ」の声が-。<BR>子どもって親やまわりの大人の愛情を確認しながら育つのかもしれませんね。
妹ができたばっかりの小5のお姉ちゃんが図書館で借りておうちに放り投げてありました。ユーモラスでかわいい絵と子どものさみしいようなすねたような気持ちをぴったり表した短い言葉、テンポよく進みます。登場人物(動物?)の表情がまたいいんだ、これがまた。「うーんタイムリーだねえ。今のお姉ちゃんにぴったりじゃん。」とパパ。お姉ちゃんはにやっ。上の子の気持ちも大事だけどどうしようと思っているご両親にも。ユーモアあふれる内容がぎくしゃくした気持ちをちょっぴりほぐしてくれます。最後のさるの弟に髪の毛をひっぱられる女の子の迷惑そうなうれしそうな顔。うちのお姉ちゃんもきっとこんな気持ちでしょう(*^_^*)