ナウシカの愛蔵版の二巻本です。<BR>ずっと以前、雑誌に連載されているときは本当に待ち遠しかったものです。<BR>わたしにとって映画のナウシカは最高の感動を与えるアニメ作品でした。そして、<BR>その原作がこの作品です。映像ではナウシカの世界の一部しか取り上げることが<BR>できなかったのだとおもいますが、この原作によって宮崎氏が「ナウシカ」で伝え<BR>たかったものが直接感じ取れると思います。<BR>宮崎氏もインタビューで映画のナウシカは今作り直してもやはり、あの結末であろうと<BR>いう話をしているのを読んだことがあります。<BR>これは本当に深い物語です。<BR>一部のストーリーからエコロジーの観点からも解釈されることもありますが、<BR>単なるエコロジーを主張しているのではなくて、人間の本質的なエゴの働きに<BR>ついて指摘してさらにそれも含みながら生きることのとうとさ、人間が本来あるべき姿<BR>を示していると感じます。<P>そしてクライマックスはもっともらしい偽りの主張をする「墓所の主」との対決!<BR>そのもっともらしい主張を覆し、本来の命のきらめきとともに生きると<BR>宣言するナウシカ!<BR>読んでいない方にはぜひお勧めしたいです。
映画の方でナウシカを観たときにも「この作品はすばらしい」と<BR>思ったが原作はさらに上をいっているように思えた。<BR>とはいえ、映像でしかできないこと、紙の上でしかできないこと<BR>その両方を見事にやってのけ、かつ、その物語の構造はしっかりと<BR>作られ、一つの作品として成り立っている。<BR>洋を問わず、虚構の世界を描く者は電波的にならざるをえない。<P>当の本人が何を表現し、伝えたいのかが分かりにくいからだ。<BR>しかし、この評をこの作者は見事に免れている。人間と自然との<BR>二項対立の解消を主題とする極めて日本的なフレーズを描いている<BR>所為もあるだろうが、ここまで完成させるにはもはや才能の<BR>一言に尽きる。<P>興味、関心程度でこの本を買うことは勧めない。一度廉価版の方を<P>読んでみて、それでもこの(何十年も読み続ける事に耐えうるべく<BR>製本された)本を所有したいというならば、つまり、名作であると<BR>感想をもつならば是非、この本を購入することを勧める。
今年(平成17(2005)年)のスギ花粉の多さは、この本を想起させる。スギ花粉は別にしても、この本は将来、古典になると思う。アニメ映画にもなったそうだ。誰に薦められたのかもう忘れたが、初めて読んだ宮崎駿が書いた本はこれだったので思い出深い。