ユダヤ教では知恵に優れた王でユダヤ人の最盛期を築いたソロモンの栄華を賞揚し憧れる。しかし当のソロモン王の子孫とされるのはアフリカ唯一のキリスト教国であったエチオピア王家のキリスト教、イスラムの名門スレイマン一族(スレイマンというのがソロモンのアラブ語読み)に分れそれぞれユダヤ王ソロモンの子孫としてその地のキリスト教、イスラム教徒の尊敬を集めながら違う立場で争った歴史を持つのである。
世界で様々な紛争を引き起こしている一神教について書かれた本。<BR>経典によって分かたれた人々の考えを理解する助けになる一冊である。<BR>構成は各宗教の著名人とのインタビューがメイン。<BR>崇めている神が同一であるがゆえに、争いの種になるユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三つの宗教。<BR>各宗教の言い分がよく分かるようになっている。<BR>誰も、自らに非があるとは言わず、相手のほうに問題があると主張しているのが、この問題の根の深さを表している。<BR>巻末の資料集はやや冗長。思い切ってカットしても良かったかもしれない。
小室直樹など、他の著者の類書で、ある程度の一神教についての知識は持っているつもりでしたが、本書を読んでみて、改めて3つの一神教の相違点が整理できたように思います。<BR> ユダヤ教・キリスト教・イスラム教のそれぞれの言い分として、各代弁者と著者との3つの対談が本書の半分を占めますが、宗教に対する著者の真摯な姿勢が伝わってきます。<BR> ただし、本書の後半に入ると、内容的に少しだれ気味の部分もありますので、星4つとしました。