ご両親の努力や周りの人たちの協力で、地域にうけいれられていく光君の様子が描かれています。<BR> 郡司先生が「愛してます!!!」と光君のお母さんに抱きつかれるほど、理解が深まって一安心。<BR> 5年生の友達達の進学や転校していってしまうお友達、淡い恋心のお話なども展開します。<BR> この巻で力が入っていたのは、アルコール中毒の暴力的な父親に育てられていた沖君のその後です。<BR> 施設に入所していましたが、施設内での暴力があり、沖君は安住の場所とはなっていなかったのです。<BR> この問題を解決していくのは…。<P> 難しいテーマを押し付けがましくなくマンガで描いてみせる。<BR> 本当に作者には頭が下がります。<BR> 健常者の方が読んでも共感する場面がたくさんです。<BR> 読後感が良くとても面白いマンガです。
光君は第3巻で小学校4年になり、この第8巻が5年生の冬ですから、作者は彼の小学校高学年という年代と、それを取り巻く問題をじっくり描こうとしているのでしょう。また、とり上げるべきテーマも多いのだと思います。<P>お母さんやお父さんや先生が、光君を通して成長し変化していくのがよくわかります。その両親の他の子どもへの気遣いがある事件の発見につながりますが、そこでは施設の閉鎖性、暴力の連鎖、事実のネグレクトといった深刻な問題が、善意の内部告発という今日的テーマと併せて描かれています。以前作者は「漫画にはいといろと制約がある」という発言をしていましたが、これらの描き方には、作者の描かずにはおれないという思いが感じられます。<P>一方で、個性の明確化、友との別れ、異性への意識といったこの年代の子どもの世界や、子の進路を意識し始めた親同士の交流と確執も描かれています。一種のリベンジ・ファクターで子を受験に駆りたてる親もいれば、1年先を見通すのもたいへんな障害児の親もいる…。作者のそれらを包含するような視線が、そのまま、子もそれぞれに違えば親もそれぞれに違うということを認め合うことの大切さを伝えているような気がします。
光くんの様子も、ある意味で安定してきたせいか、8巻では、光くんと一緒に大きくなった、周りの子どもたちの様子が多く描かれています。<P>最近の展開は、自閉症界の「男はつらいよ」になってきたような気もしますが(^^;)、それだけ安心して見ていられるともいいますね(笑)<P>まだまだ連載を続けて、大人になった光くんまで描き続けてほしいです。