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シグルイ 1 (1) ( 南條 範夫 山口 貴由 )

「狂気」渦巻く世界で、「正気」の主人公が正道を貫く。<BR>それが今までの山口漫画だった。<BR>世界が狂っているからこそ、主人公のごく当たり前な言葉も意味を持つ。<BR>現実が狂い始めているからこそ、主人公の放つ言葉の重みが、読者に伝わるのである。<BR>覚悟も悟空も正雪も、何故か気づかない「当たり前」を説いてきた。<P>今回のシグルイは違う。<BR>秩序ある世界。人々は平穏に暮らしている。<BR>そこに居るのが狂気の集団である虎眼流だ。<P>天下太平の世にあえて、「死」そのものである剣武に狂う者達の、文字通り全身全霊を込めた行動は、読者にとっては理解しえないものだろう。<BR>理屈として理解は出来ても、感性では踏み込むことの出来ない、魔物の領域だ。<P>それが舌の肥えた飽食な読者にとっては酷く心地良い。<BR>つまりそれは、今までの山口漫画とは逆の方法で、狂気と正気のコントラストを描いているからだろう。<BR>山口漫画に限らず、狂気の世界を描いてきた全ての作品による下地がそうさせる。<BR>正気の側の藤木が狂気に浮かれる様に欲情するのである。<P>例えば「シグルイはいい」といった評がいくつか有るが、そういう言い方は良くない。<P>それは自分のオタク性(ネガティブな意味での)を世間に晒しているだけではないかと思う。<BR>シグルイという作品を読むに当たって、全ての人間が持つもっと純然たるオタク性を発揮する事が必要なのではないか。

現在、もっとも面白い漫画の一つである。山口貴由さんは、週刊少年チャンピオンで『覚悟のススメ』などを描いておられたが、その頃から比べると今の少年チャンピオンは個性がなくなっていて面白くない。僕の記憶が正しければ『七人のナナ』が連載されはじめ、ブロッコリーと提携して読者投稿ページに「でじこ」を登場させた頃からおかしくなり始めた。REDに連載されているこの作品を読んではっきりした。いまのチャンピオンに足りないのはこの感覚だ。と

間違いない! 今、この瞬間、リングの神は、確かにここにいる!!<P>リングの神は、実に気まぐれである。今日このリングに舞い降りたからと言って、明日もまたここに姿を顕わすとは限らない。<BR>かつて……「ジョジョ」や「バキ(最大トーナメント編)」に顕れた事もあった。初期のK-1やプライドのリングに降臨した 事もあった。全女やリングス、UWFのリングに棲んだ事もあった。猪木やダイナマイトキッドの試合に顕れた事もあった。古 くは、「拳児」や「男組」、「ワイルドセブン」、梶原一騎の作品群、「デビルマン」、あるいは「ウルフガイ」「キマイラ」 といった連綿と語り継がれる作品に移り棲んだ時代もあった。多くの場合、リングの神は、一つの時代に一つの作品(リング) にしか顕われない。だから、俺はこの世に生ある限り、リングの神を捜し続ける宿命なのである。そして、今、ひとつの旅が終 わった……。あとは、願わくば、この作品が最良の形で全うされん事を!<BR>神に選ばれし作品が出会いたくば、この作品をひもとくべし!そして語り継げ!!そして、自らも神の歴史の一部となるのであ る!!!

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