臨床感染症のレベルは大変残念なことに、日本は低いことはまじめに臨床をおこなっている医師なら誰しも痛感していることであろう。そういう医師が本書に出会って感激することはまず間違いない。早い時期に本書にであい基本をつけることは西洋医学を身につける上できわめて大事なことであろう。本書を越える臨床感染症の本は日本にないといってよく、誤植などは今後改定されていくはずである。
証拠にもとづいた、しかも実践的な感染症の日常診療にすぐ役立つ内容。グラム染色の有効性と効率的な抗生物質の使い方、選びかたがのっている。血液培養時のイソジン消毒を3回するとか、正しい採取のやりかたも具体的。平熱でも血液培養検査をすべきであって、しつこく10回も原因菌をさぐるため実施した経験談には、合理的、科学的な米国感染症の実際がみえてくる。かぜに抗生剤を使用し、耐性菌をまんえんさせている日本との違いを反省し、私にはすぐ実行できる感染症診療のバイブルになった。
「血培は、イソジンが乾いてから!」というのは正しいのです。<BR>今までの日本の感染症のテキストにこんなことは書いてありませんでしたが、米国では、しっかりマニュアル化されているのです。(イソジンの殺菌力発揮には1-2分の時間が掛かるので皮膚常在菌のコンタミネーションを防ぐため)<P> 本書は、米国でのエビデンスに基づく医療をベースに筆者の長年の感染症診療の経験が盛り込まれたものである。随所に上記のような内科の「パール」が散りばめられていて「マニュアル」というよりも読み物として興味深い。