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| モーツァルト
(
西川 尚生
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知っているようで知らないモーツァルトの生涯。色々な神話に満ちているが、本書は最新の研究の成果を取り入れて、モーツァルトの実像にせまっている。例えば、晩年の「作品が理解されず貧困の中死去」という神童モーツァルトの悲劇にまつわる物語も、その状況がリアルに記述されている。最後の三大交響曲をモーツァルトの生涯一度も演奏されずに終わったというもう一つの物語も、どうやらト短調交響曲に関してはそうではないというのが、現在の説らしい。また著書が特に力を込めて書いている、イタリアにおけるモーツァルトのオペラ作曲体験の記述からは、当時のイタリアのオペラ業界の「政治」が垣間見れてとても面白い。<P>モーツァルトを知っているつもりになっている人に、おすすめ。
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