堅苦しい文章じゃないので、面白いしとても読みやすいです。ノンケの働いている人たちの背景を中心に描かれているので、同性愛問題というよりも、性風俗のひとつといったかんじです。二丁目に興味のある人も、ない人も、ちょっと手に取ってみようかな?という感覚ですぐ読み終わります。
風俗手記は沢山ありますが、男性が男性に性を売る題材を本にした物に出会えたのはこれが初めてでした。売らざるを得ない理由や、売れるコ・売れないコ、葛藤・苦痛・喜び等、様々なボーイ・お客様のお話が掲載されています。風俗手記に興味の無い方にでも知識欲を満たしてくれる、そんな一冊。何より、人情味に溢れているマスターの語り手が特に良かったです。
陰間茶屋、衆道、いいようはあるけど、男が男を愛するという行為は今に始まったことじゃない。でも、今の世の中で、その産業を支えている筆者の身辺に起こったことを淡々と綴った文章には、明るさがある。ただ、自らも「3K」いや「4K」と呼ぶこの仕事に生きる若者の姿がもっと活写されていれば、と思う。年齢差をそのままに、評論し、スケッチしてしまうのでは物足りなさが残る。続編とは言わないけど、もっとボーイとの対話を丹念に拾った続編を期待したい気がする。