確かに驚くような実験と大胆な仮説を丹念に集めて、ZPFを描き出している点はすばらしい。<BR>しかし、まったく反対の見解が各々の実験に存在することも事実なのだ。もし、賛否両論をそのまま掲載したら、この本は不朽の名著になったと思う。残念でならない。<BR><BR>実際のところZPFからまだなにも生まれていない。非局在性が証明されたところでテレパシーはあいかわらず通じない。まだまだ研究の余地のあるところからいきなり結論を急ぎすぎていると思う。<BR>知られていない研究を知るにはいい本だが、結論は普段の体験と比べてみてほしいと思う。
朝日新聞の書評を見て、興味をもって入手した。書評タイトルに「異端の科学研究を大きな仮説体系に」とあったが、たしかに論議を巻き起こす挑戦的な本だ。<P>そもそも「量子」については、いまだに正当科学でも分かっていないことが多い。だからこそSFめいた「多世界論」もまっとうな学説として登場する。ましてや、本書のキーワードである「ゼロ・ポイント・フィールド(ZPF/量子真空)」は、未踏の荒野といえる。本書はこの荒野を手探りで、しかし、周到な理論武装や実験を繰り返し、突き進んでいく科学者たちの姿を伝え、まさに「壮絶なパラダイムシフトの戦い」を浮かび上がらせる。<P>ところで、朝日の書評では「異端」とされているが、本書の研究分野には、すでに権威ある機関などに認められ、国際的な研究ネットワークや普及がはかられているものも多い。たとえば、ホメオパシーはその有効性が多くの試験で明らかにされつつあり、欧州委員会が通常の医療と統合すべき、との勧告を出すに至っている。プリンストン大学の地球意識プロジェクトも、正当科学の牙城といえる全米科学アカデミー研究評議会を母体とする米国研究評議会によって、その成果が肯定的に評価されている。なお、本書に登場する数少ない日本人科学者、保江邦夫教授の脳・量子・意識を結ぶ超放射光の研究は、別冊・数理科学『量子場脳理論入門』に詳しい。こうしたまっとうな研究が、じわじわと既存のパラダイムを変えていくに違いない。
遠隔透視(リモート・ビューイング)やスピリチュアル・ヒーリング、時間逆転などの話題も飛び出す本書は、ともすればトンデモ系に見えるかもしれない。じつは私も初めはそう思っていたのだが、どうしてどうして、芯はしっかりしている。<BR>著者がなにより配慮したのも、きちんとした科学的な根拠があるかどうかということであり、だからこそ登場する科学者たちの論文は、権威ある『ネイチャー』『フィジカル・レビュー』といった雑誌にも掲載されるわけである<BR>・・・にもかかわらず、かれらの探求は、私たちの常識をくつがえすまさに驚くべき成果をもたらした。なによりも、「ゼロ・ポイント・フィールド(量子真空)」という宇宙の根源的なエネルギー場は、まさにパンドラの箱! <BR>既存の科学が分かっていながら、フタをして閉じこめてきた箱がついに開かれたようだーー本書を推薦するアーサー・C・クラークではないが、「3001年への旅」としても楽しめる。