大河ドラマ「新選組!」で幕末や新選組に興味を持った方は<BR>多いのでは。私もその一人です。<BR>友達に勧められて読んだ「燃えよ剣」を始め、小説の類は<BR>あらかた読みました。でも描かれ方って作者によって違う。<BR>本当の土方歳三ってどんな人だったのかな…そんな思いを<BR>持った頃この本に出会った。<BR>ショックでした。<BR>史実の彼は、どんな小説よりもカッコイイのであります。<BR>そして同時代人の口から語られる彼。惚れました。<BR>俳句「豊玉発句集」全解釈や、彼の残した書から見る彼の<BR>人物像など、ちょっと面白い視点からでも彼の人となりが<BR>充分伝わってきました。<P>勿論小説の中の土方歳三はいい男です。でも、実際の彼が<BR>残してくれたエピソードは、彼の熱さ、人間らしさ、優しさを<BR>余すところ無く伝えてくれます。それを上手にまとめてくれた<BR>この本に、感謝です。
外側から内側へ触れていくような論や解説の数々は、単に土方歳三の軌跡を追って構成するのではなく、その人間像に迫るなかなかの好著でした。<P>まず、豊玉発句集の全評釈が見やすく、評者のナイスツッコミが楽しいです。<P>完全無欠な土方さんの唯一のウィークポイントであり、チャームポイントでもあるマズイ句作の数々は、改めてずららっと見てみると、ホントに愛しさの込み上げてくる稚拙さ。俳諧のなんたるかなぞわからない自分にさえ「それはないだろう(笑)」といわしめる句には、しかし土方さんの人間性が滲み出ていて、かえってすごく親近感沸きます。<P>人間性といえば、はずせないのが書。<BR>字はその人をおのずと表すものだと思いますが、ここでは「月」という字に着目して面白いことが書かれていました。<BR>これまた土方さんの真の人物像に迫るひとつの手段です。<P>同時代人による評価がいくつかピックアップして列挙されているのもよかったです。土方さんと触れ合ったことのない現代人がどれだけ勝手妄想で人物評価しても、所詮実際に当人に逢って、見て、話した人たちが受けた感覚は超えられません。<P>色んな角度から迫っても、尽きることない人間・土方歳三の魅力に、もっともっと触れたくなる一冊です。
それぞれは短いエッセイ風の文章ですが、その内容が濃い濃い!<BR>漫画家安野モヨコさんがするどい切り口で語る土方像も必見ですが、豊玉宗匠発句集の全句解釈が最高です。<P>土方歳三の一生を簡潔に綴った文章では小説的要素が一切含まれていないにも関わらず、またたった数ページの文章にもかかわらず、彼の個性と魅力が溢れており、単なる年表以上の一大読み物となっています。<BR>その他、司馬遼太郎氏による日野訪問時の印象を記したエッセイ(土方姓と土地に息づく土方像など)etc・・・・・・。<P>こんなにおいしい本は絶対おすすめです。