この書は2002年に発行され、ディランの足跡を紹介するだけでなく、最近の活動記事をも見る事ができます。<BR> ディランはデビュー以来、フォークを起点に、ロックやカントリーなどにも変遷。あるいは、デビュー当時の社会派シンガーのカラーから映画音楽を手掛けたりなど、幅の広い音楽活動をしてきたものですから、彼のイメージが掴みにくかったのですが、この書では「ボブ・ディランの足跡」として年代ごとにディランの活動状況を見る事ができるとともに、年表を通して時代とともに変わるディランを発見することができます。<BR> また、ディランの交友関係は、たいへん広範囲ですが、友人の記事を通して、交友関係図とその背景をみることができ、ディランの私生活をも垣間見ることができます。<BR> 複雑なボブ・ディランの活動の足跡を、わかりやすく記した書です。<BR>
このシリーズには、ほかに『宇多田ヒカル』、『グレン・グールド:バッハ没後250年記念』、『エリック・クラプトン』などが存在しますが、本書もこれまで通りの構成で、アーティストについての非常に有益な紹介書・入門書になっています。<BR>「ボブ・ディラン インタビュー」では興味深いディラン自身のことば(1984年6月27日に実現)を確認できます。<P>「ボブ・ディランの足跡」では、まず、彼の人生を9つの時期に分けた、アーティストとしてのキャリア、私生活両面の伝記、次に、宇田和弘氏による三つの時期に分けた作品論、最後に、けっこう詳しい年譜が掲載されています。<P>「ボブ・ディランの魅力」では、まず、佐野元春氏のほか、日本盤購入者にはおなじみのライナー・ノーツ執筆者である中村とうよう氏、菅野ヘッケル氏、みうらじゅん氏、そして日本のソニーのディラン担当者などのインタビューが掲載されています。<P>「ボブ・ディラン交友録」では、ザ・バンド、ポール・サイモン、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、ローリング・ストーンズとの交友にまつわるエピソードが掲載されています。<P>「ボブ・ディランの音楽活動と作品」では、ディランの各アルバムの収録曲目リストと簡単な内容解説(重要・便利)のほか、ディランの映像作品、ディラン・カヴァー・アルバム、ディランのオリジナル盤未収録曲についての紹介が掲載されています。「ブック&インターネット・ガイド」では、ディラン関連の書籍、サイトが紹介されています。<P>ハードなディラン・リスナーは、“わがディラン”像を再確認するために、ビギナーは、ディランの人柄込みで親しみをもってすぐ彼の音楽を聴けるようになるように、ディランのみならずフォーク、カントリー、ロックンロールに対する愛が漂う本書を手に取ってみるとよいでしょう。薄いペーパーバックなので、どこにでももっていけ、どこででも読めますよ。