70年代にはクイーンを敬遠していたが、90年以降それなりに評価するようになったが、本書を読んで70年代80年代のクイーン像を見直すきっかけになった。巻頭のインタビューはクイーン自身のクイーン伝とも呼べるもので、フレディなき今これ以上のものはないだろう。クイーン神話の検証にも納得させられつつ、クイーンがもっとも輝いていた時代をさまざまな関係者が語るインタビューも楽しめる。記録集があったり、4コマまんがやクイーンの変遷がイラストで示されていたり、さらにはゆかりの地紀行まである。クイーンに関する基本情報も網羅されているので入門者もやさしくおすすめといえる。
手ごろな感覚で手に取れるクイーン本の、目下のところの最新刊。数年前に出た「ルーディーズ・クラブ」等の増刊ともよく似た構成で、芸能人から音楽評論家、そしてファン代表といった様々な立場の人が思い思いにクイーンを語るという形式。<P>そういう意味で思い入れの強い分だけ内容が深く、良くも悪くも散漫な部分もあるので、初心者よりは中級以上のクイーン・ファンにお勧めしたい。<P>記事の中で特に興味深かったのは2つ。まずはデータという観点から、様々な記録数値でクイーンの活動を捉えようとする試み。ギネスに載っている記録もあったりで、なかなか面白いものだった。<P>そして、圧巻は、巻頭に掲載されている、フレディの死~活動休止の時期にブライアンとロジャーに対して行われたインタビュー(既に英国では雑誌に掲載済みだが邦訳は初登場)だ。特にブライアンの心境がここまで赤裸々に吐露されているのは珍しい。<P>父親(あの有名なハンドメイド・ギターの共同制作者)との長年の不和、ミュージシャンとしての狂乱の毎日と家庭人としての両立のストレス、そして彼自身の性格もあるだろうが、有名で資産家になればなるほど襲ってくる精神的な寂寥感。<P>エンタメの極限を走り続けたフレディとクイーン、しかし、そのウラには様々なドラマがあったことを教えてくれる。