MITで学位を取得し、ハーバードなどの教職を経て、日本に戻った化学研究者が、アメリカの研究者生活の中心である、競争的研究費獲得と終身在職権獲得制度についてあつく熱く語った本。NIHへの研究計画書の執筆の仕方(現物縮小コピー付き!!)、日本の大学院制度についての改革案まで提示している。日本の中で、ばりばりに研究している人は「うらやましい」制度だなぁと思うし、やる気になる。その反対の人は「よかった日本に生まれて」と思うであろう。私は後者かな。<P> 実際には、テニュア獲得後のアメリカの研究者の中には相当だれている人もいて、アメリカの研究者が最後まで切磋琢磨しているかというとちょっと疑問だが、筆者ははなから、そういうサラリーマン教員は問題にしていないのだろう。それはそれで潔くて良い。
アメリカの教育システムを知り尽くした著者が,そのシステムを懇切丁寧に解説した本.<P>同様の本によく見られるうわべのアメリカ教育システムではなく,大学入試システムから研究者の採用,さらに研究費獲得のためのシステムをしっかりと解説しているので,その根底となる考え方みたいなものにも触れらることができる.<P>その上で,日本の教育システムとの比較を行っているので,非常にわかりやすい.<P>個人的には,3章の科学研究費の申請と審査に関する記述が参考になった.<BR>きちんと研究計画を立てることの大切さと,そのコツにはハッとさせられると同時に,それを若手研究者に学ばせるアメリカのシステムがうらやましく思った.<P>手元に置いて,ときおり目を通したい本です.
~副題の方が内容により即しているが,「切磋琢磨」をタイトルに持ってきたところに著者の意気込みを感じる.米国で博士課程学生,PD,PIを経験してきた著者が,大学や大学院の仕組み,NIHを中心とした研究費の申請の仕方と審査の内情を詳細に解説している.一読して,米国のシステムが,現在日本の大学を批判したり大学改革を叫んだりする際に引き合いに出される~~ようなもの(publish or perishなどと云って単純に喜んでいる人がけっこういるわけですが)とはかなり異なっている事が理解できる.そしてそのシステムが「切磋琢磨」をもたらす働きについて力説されている.さらに読み方によっては実用書にもなり得るものである事を付け加えておきたいと思います.~