株投資、外貨預金、信用(証拠金)取引などは興味があるが、プロの金融市場のトレーディングなどさっぱりわからない読者にブラック・ショールズの偏微分方程式などの金融工学を持ち出さなくても、平易にその実務とからくりを教えてくれる。巨額の資金でプロだけが参加できる市場であり、個人投資家の財産運用には直接、役にたつわけではないが、自分の銀行の貯金、保険といったお金がどこにたどりついて世界を循環しているかがわかる。直接、個人に関わってくる課題として、藤巻さんは日本の経済力の実力と比べて、過大評価(というより他のメジャー通貨とのバランスで)され、円高になっている事を指摘しており、一貫して円安の到来を主張している。レビュアーは藤巻さんの円安論を支持している。基本的に輸出工業国である日本が産業資本主義を存続するためには実質経済に見合った円安が必須と考える。質の高い工場も基幹デバイスも内製組み立ても国内で可能であり、それに連鎖する産業のピラピッドと工場空洞化も円高が阻害していると考えるからだ。
もっと早くこの本に出会いたかった! と心から思った本です。金融の素人ではありますが以前から先物やスワップなど理解したいと思い、色々と金融の本を読んでは見たのですが、いつも本半ばで挫折していました。<P>しかし、この本は素人にも分かり易い。ただ、1回読んだだけでは十分に消化し切れませんが。笑 今まで読んだ本は理論的な側面や数式が多く文系の私には理解できませんでした。しかし、藤巻氏曰く、「金融工学などの難しいことよりも、いかに基本的なモデルを使いこなすのが大切」という言葉に励まされ、ゆっくりと図など描きながら、また日経新聞なども参照しつつ読み進めるうちに楽しく読めるようになりました。<P>とくに「ファンダメンタルズが大切」ということで、マクロな視点と実務的な面を絡めて説明しているので、非常にクリアな現代金融の全体像が掴めました。スワップや債券先物など理解したときには、相対性理論を理解したときのような爽快感がありました。いまでは、常に手元において自分のバイブルになってます。
為替、短期金融、債券、デリバティブ(スワップ、オプション)を中心に金融マーケット全般について、わかりやすく解説されています。本書の魅力は大きく二つあると思います。第一に、私のような素人でも理解できる平易な解説。とくにデリバティブに関する説明は目からウロコでした。第二に、教科書のような無味乾燥な解説とは違い臨場感があふれていること。これらの魅力は著者が学者ではなく「伝説のディーラー」と呼ばれるプロのディーラーであることと、本書が受講生との対話も含む講義をベースにしているためだと思います。また、ところどころに挿入されている「雑談」も面白く、示唆に富みます。