近年生じている格差問題をめぐる議論について、消費(マーケティング)の分野から分析することを意図した書であり、経済学、社会学における文献等もフォローしつつ、自前の調査による分析結果も踏まえて論じられている。問題は、調査結果を年代ごとに分けてクロス集計を行っているため、サンプル数が小さく、結果が非常に限界的なものになっている点。この点は、説明変数に対する年代の効果が有意なものかといった別の視点から分析することも可能か。また、階層意識の「上」「中」「下」ごとに、とのような違いがあるかというところに分析の焦点は当てられているが、そもそも、この階層意識はどこから生じているのか(親の資産を含めた資産格差か、所得格差か、消費格差か、教育格差か)といった点の吟味が足りないような気がする。加えて、「年代」の効果と「年齢」の効果の違いを十分捉え切れているのかも疑問を感じる。
読んでいて、学生時代の同級生を思い出しました。「大学入学を機に上京。世田谷・杉並・大田区に住みたがり、情報誌を見ては話題のスポットに出掛け、仕送りをファッションに注ぎ込み、一年生の夏休み明けには東京在住の同級生より六本木に詳しくなり、就職はマスコミ関係希望」。そういや、「マル金」だの、「マルビ」だの、流行りましたよね。そんな一昔もふた昔も前に若者だった人がそのまんま(あ、現在はシンクタンク云々でしたっけ?)「なんか、よくわかんないんだけど、近頃こんな感じがしてます。アンケートもちょっとだけど取ってはみました。他の人の本にもこんなことが書いてあったし。」ってだけで本を書いちゃったんでしょうか。また出版されちゃうってのもねえ…おまけにベストセラーと喧伝されるというのが、すでに世の中全体が「下流」化してる証拠かも。
結論ありきで統計を強引に解釈しています。他の方も書いておられますが、仮説やデータの解釈、結論すべてにおいて論理性がない記述が数多くみられます。学術的な価値はほとんどないと思いました。データ量は豊富ですが・・・。<P>残念ながら人に薦められる本ではないと思いました。