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今日の芸術―時代を創造するものは誰か ( 岡本 太郎 )

「お婆さんの寝室にあったモナリザの絵が怖くて近寄れない」、これが私の芸術作品に触れた最初の一歩だったことを、この本を読んで思い出しました。心地よさや安らぎを求める現代に、岡本太郎の力強い言葉は、未だに多くの人に共感を与えることと思います。今日の小さなウィンドウで広げられるインターネットの世界を前にしたとき、岡本太郎だったら何を感じ、そして何を与えるのでしょうか。その答えを持った、岡本太郎を超える芸術家たちは、本当は、身近にいるのかもしれません。

彼が記す文章もやはり芸術作品であることが、この本を読むとよく分かる。<BR>芸術が型にはまったものではならないと主張する岡本氏は、この本が世に登場した当時、まさに型におさまらない存在であっただろう。<BR>現在でもこの本の芸術作品としての存在は大きく、私は頭をガツンとやられたような、そんな大きな衝撃を受けた。

芸術とは何なのかを教えてくれる本<BR>同時に本当の生き方を考えさせてくれる本<P>八の字文化「符丁の魔術」、芸術は常に新しい<BR>アヴァンギャルドとモダニズム、<BR>「新しいといわれればもう新しくない」<BR>謙虚とは権力とか他人にたいしてではなく、<BR>自分自身にたいしてこそそうあらねばならない<P>借り物の人生にむなしさを感じている現代に<P>情熱を取り戻し、本当の生き方を教えてくれる本<P>本書こそいつまでも新しい本のような気がします

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今日の芸術―時代を創造するものは誰か芸術家の書く文章の魅力は、何と言っても彼らの創造の秘密をのぞかせてくれることだ。「芸術は爆発だ」であまりに有名な岡本太郎による本書もその例に漏れない。本書は、美術、歴史、民族学など広範な知識を駆使し、論理的に展開しているが、創作者の実体験に基づく論述だけに退屈させない。また全編を貫く著者の芸術に対する深い信念が文章に勢いを与え、読者を魅了する。 <br>前衛芸術の啓蒙書と言うべき本書において、著者は「今日の芸術は、うまくあってはならない、きれいであってはならない、ここちよくあってはならない」を芸術の根本条件として宣言し、芸術の本質とは常に過去を否定し乗り越えることであると示す。そして現代社会で失われた人間性を取り戻すため「これからはすべての人が描かなければならない」と主張し、人々を芸術行為へと誘う。1974年に刊行された初版の序では、著者自らが芸術に関心のない人にこそ読んでもらいたいと言っている。芸術は特権的なものではなく、人間の根源的な欲求だからである。 <br>復刻版では横尾忠則が序文を、赤瀬川原平が解説を書いている。刊行当時、芸術を志す者に競って読まれた本書は、簡略だがオーソドックスな美術史入門でもあり、「謙虚は卑屈」と断罪する日本文化論でもある。しかし何よりも、停滞を嫌い常に前進する画家の人間像が印象に残る、本人による「岡本太郎論」と言える。(林ゆき)
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