著者の高木賢治氏は言う。「俺は悪である」と。さらに「悪は悪とわきまえつつ、悪である自分をさらけ出す」とも。アウトローをむやみにヒーロー視した本が多い中、池袋のヤミ金王・高木氏の姿勢は内省的でさえある。その視点があればこそ、悪の現役が著者になるという暴挙も許さるのだと思う。内容も出色だ。お涙頂戴もほどほどで、潔い文体もよい。こんな人になら、金を借りてみたい、と正直思った。
読み出すと止まらない。強烈である。<BR>頭のキレ、肝、行動力、暴力、情、温かさ<BR>どれも半端じゃない。<BR>それが、ガンガン伝わってくる本。<BR>買って良かった。
「のし上がった」というよりは堅実。ピカレスクドラマではなく、まっすぐな男の半生。<BR> 捨て子で小学生からシャブを打ち、中学で人を刺して年少入り、ヤクザ嫌いの一匹狼。そう並べるととんでもない奴だけれど、そこに見えるのは、まっすぐで嘘が大嫌いな、人なつっこく人情家で、人に損得抜きに愛される、「極道」の男だ。人としてあまりにまっとうなので、歪んだ世の中からはみ出してしまったようにも見えてしまう、と言えば言い過ぎだろうか。<BR> こんな人と友達になりたいし、こんな人に認められる人は、真の男なんだろう、と思う。