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| ボロボロになった人へ
(
リリー・フランキー
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濃いいです。おもしろいんですけどねえ。<BR>体力・気力がないときには読めない本かもしれませんが、心の準備ができたらぜひ読んでいただきたいです。<BR>小説にすると意外とリリーさんの文章は文学的になるんですねえ。 『大麻農家の花嫁』『死刑』『Little Baby Nothing』の3編が秀逸。さすが人間観察をライフワークにしているだけあって、人間描写が素晴らしい。構成作家もこなすリリー・フランキーらしく、台詞も自然でテンポが小気味よい。『大麻……』は、適齢期をちょっとすぎた独身女性の胸にはチクチクするお話です。 著者は中島らもの後継者になりうると思う。文体とか発想とかが、じゃなくて<BR>強烈な草の匂いがする。こういう人はへらへらしているようでいて、魂はマジである。そのような人が現実をどう見るか。「憂き世」にしか見えないだろう。この短編集のタイトル作は「これ以上ないくらいこの世と自分に幻滅した<P>人間の話」である。そういう話を読んで、おもしろいか。読者による。私は<BR>Little Baby- のみに強く感動した。この短編には何かがある。
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