次に来る社会は、経済はどうなるか?漠然と持っているこの不安に答えてくれる。<P> とかく経済ものは、暗い現在を強調して不安をさらに煽るものか、意味不明の楽観論を展開するものに大別されがち。しかし、この本では予想される社会の形を明らかにした上で、個人が対応すべきことはなにかを示唆してくれている。そうした点で、ドラッカー教授の本はやっぱり安心して読める。<P> 改めてハッとさせられたのは、「知識が資本になる」ということ。今はお金が資本ですが、資本主義でありながら「資本」の意味をよく考えていなかったと思う。お金=資本ではあるけれど、お金はあくまでなにかの目的を達成させるための手段であって、それを増やすだけが絶対目的ではないことが分かった。<P> ミヒャエル・エンデ系の本(エンデの警鐘とか)とともに併せ、読んでみると、これからの世界に対して自分がなにができるかを考えたくなることはうけあい。経済の本なのに、読者のモラルアップにつながるのはドラッカーとエンデくらいかも知れない。
「歴史が見たことのない未来がはじまる」という副題は過剰な期待を生む宣伝であり、この本にふさわしくない。むしろドラッカーは、これまで通り冷徹に理路整然と時代の潮流を見通す言明をしているだけである。<P>残念ながらこの著作にはほとんど本としての統一感がない。一定期間にばらばらと発表された論文を寄せ集めて編まれており、類似内容の繰り返しや表面的な撞着もある。<P>しかしながら、ドラッカーらしい独自の洞察や豊かで論理的な分析は随所に見られる。本として読むよりも、論文やコメントを拾い読みするのに向いているかもしれない。
旧来型の組織に変わり、知的パワーが力を持つ社会は、すでに到来しています。それを加速させたのは、インターネット。<BR>大枠では予測できたことですが、ドラッカーの言葉になると、重みが違います。<P>副題が大げさな気もしますが・・・。<P>知的格差が収入格差に直結する社会。<BR>もう、すでにはじまっているかもしれません。<P>本書で懸念されている収入格差20倍は、現実となるような気がします。<P>爆破テロ以前の作品を今頃読んでいるわたしも情けないですが、<BR>「いつの間に?」という驚きとともに、敗れ去っていく人生は歩みたくないので。