市場や外部環境を「場」と捉え、企業をその中の「点」として捉えて、最も合理的(優位を築くことができる?)方向を導き出すフレームワーク=「経営戦略論」と考え、これに心酔する方が多いことに正直閉口させられます。「競争の戦略」よりは、本書の方がその弊害があまり鼻につきませんが。。。「規範的アプローチ」で世を代表する大著であり、それに心酔する実務者も多く存在することを否定しませんが、誰かが考える“理想”通りに「組織」が舵を切れるなら「経営学」など必要無いと感じます。世のポーター・ファンの方々は、このような批判に決して同意しないとはは思いますが、「組織」で難なく彼の理論を適用することができるなどという幻想を撒き散らすことはやめていただきたいものです。
何かしらの観点で、戦略に関わる人にとっては、立ち戻るべき戦略の原点のひとつであると言えると思います。<P>特に、戦略に関し、サマライズされた書籍(MBA関連の戦略本等)等である一定の知識をお持ちの方は、ぜひ、時間を割いてでも、本書を読んでみてください。<BR>更に深い見識と、本書を参考にした自分なりの戦略論を持つことができると思います。<P>既に20年近く前の本なので歴史的には古いかもしれないし、ポーター自身も含め既に新たに(発展系の)多くの戦略論が出回ってはおり、本書に関する様々な見解もあるとは思いますが、なんだかんだ今日、世に出回っている戦略論のひとつの原点であると思いますので。。。
ポーターに対する批判は数多くなされていますが、<BR>それも本書が与えた影響が大きかったからこそです。<BR>本書の扱うバリューチェーンという概念は極めて有名で<BR>経営に関わる人の中でこの概念を知らない人はいないでしょう。<P>しかし本当の意味で理解しているかと問われたら、<BR>大多数の人は理解できていないのではと思います。<P>この概念の持つ限界性・仮定など理解していなくてはならない事は<BR>たくさんあります。<P>そのほとんどが本書では議論されています。<BR>これが本書を読む意義でしょう。<BR>しかしこの値段と600ページに渡る本書を読む必要があるかどうかと<BR>問われたら私は懐疑の念を抱きます。<P>多くの経営学者によって成される批判なのですが、<P>ポーターの議論はパターン化が甘いです。<BR>バリューチェンは5つのプロセスから構成され、<BR>それぞれのプロセスを考える際の注意事項が大体7個あるなどが例です。<BR>事実大抵の本ではポーターのバリューチェーンを紹介する際には<BR>ポーターのパターニングには従っていません。<BR>その他周知のように多くの批判が成されており、<P>それでも敢えて本書を読む意義はあるのでしょうか。<P>しかし戦略論の本としての完成度は高く、<BR>本書を通じて戦略論の考え方などに触れる事が出来るので、<BR>一応星4つの評価とします。