MBAコースの戦略テキストとして非常に網羅的。経営学の発展に即して、戦略論の位置が説明されている点に好感をもった。他の経営学科目と独立的、並立的になりえない総合経営という分類で戦略論を捕らえる必要性は、基本ながら忘れがち。ただ、リソース・ベースト・ビューとポジショニングの双方の統合はやはり難しい部分だ。
『戦略論のテキストは、どれも分厚く、読んでいる間に眠たくなってしまうものばかりだ』(三枝匡、戦略プロフェッショナルより)<BR> ミンツバーグもシェンデルもアンソフも挫折してきた僕だが、本書(上巻)は、たった3時間で読み終わってしまった。それほどに本書はわかりやすく、面白いテキストである。そもそも面白いテキストなんて、人によっては一生見ることのないものではなかろうか。<BR> 戦略とは何か、というありきたりで退屈なテーマも、著者にとっては格好の研究材料であるらしい。「そうか、そういうことだったのか!」と目から鱗の理論が展開される。ファイナンスからの切り込みもあり、洗練され、現代と将来のニーズを捉えている。ポーターのフレームワークも、これほどわかりやすく解説した研究者はいないだろう。豊富な事例を元に、その有効性と限界も鋭く指摘。流れるような翻訳も楽しい。<BR> 間違いなくコトラーやポーターに匹敵する。
上・中と読み進めてきて、やっと下巻です。<P>本書では全社戦略と銘打ってありますが、<BR>戦略的提携・多角化戦略・合併買収を通じたシナジー効果が話題の中心です。<BR>本書全体で提案されてきたリソースベーストビューの基本ロジック<BR>VRIOによる競争優位性の分析で単純化して<BR>シナジー効果の分析が進められています。<P>というと、上巻・中巻と読んだらもういいかと思う方も多いかと思います。<BR>確かに勘のいい方ならば、下巻を読まずとも同様の議論をする事は出来るかも知れません。<BR>しかし、M&Aにおける情報の価値など何らかの発見はあると思います。<BR>幸い基本的なロジックが上巻・中巻と一緒なので、<BR>読み進めるスピードは格段に速くなると思います。<P>ここまで読んだら、是非下巻も読んでみるといいと思います。