上質の解説書であるのは間違いない。ただし、核心部分はカットされている。<BR>やけに薄いとは思ってはいたが、「専門的すぎる」からとは!もう唖然。<P>最初から原書で読めば良かった。
著者のゴールドラット博士は『ゴール』シリーズ4冊の著作で有名であるが、『ゴール』同様に1990年に書かれた原書の日本語訳をこれまで許可して来なかったのは、TOC(制約理論)を日本人が容易に会得することにより、日本の競争力が強くなり過ぎることを懸念した当時の時代背景があってのことである。<BR>全編を通じて、コスト会計が導き出す考え方や評価の仕方が、我々の行動を規制し、それが全体最適を阻害しており、企業のゴールである「儲けること」に結びついていないことを指摘している。一方、スループット会計を採用することにより、経理の専門家でなくても直感的に正しい意思決定が出来、現場と経営を繋ぐことが出来るとしているが、スループットを科学的な「どんぶり勘定」と表現しているのは大変興味深い。<BR>組織の目標を定め、その目標に向かって組織の構成員を動かす為には、正しい評価尺度を示す必要があるが、コスト会計を使っていてはそれが難しく、スループット会計の考え方を活用し、スループットを増大し、在庫を減らし、業務費用(間接コスト)を削減することによって生み出すキャッシュを極大化させることが出来ると説いている本書は、業界を問わず広くビジネスマンの参考となるものである。
ザ・ゴール等に描かれている著者独特の理論が詳細に解説されている。本書で著者の理論をある程度理解してから小説を読んだ方が、読者としては得る物が多いであろう。勿論、本書を座右に小説を再読するのも良いかも知れない。