個々の細かい問題解決手法を書いてある本は、それはそれで具体的で助かるのだが、結局本に書いてあるのと同じ問題なんて起こらない。要はどんな問題にも論理的に考えて対処できる力を付けられるかが問題。この本は、あまり細かい「手法」的なことには踏み込まず、全体の流れと基本となる考え方を徹底して説いている。ただし、読むと分かったような気になるが、実践するのは当然そう簡単ではない。これは、この本が表面的なテクニックではなく、本質的な「考え方」に踏み込んで記述されているため。かといって、理論偏重なところもなく、バランスが取れた好著。「これって、MECEじゃないな」が口癖の人にお勧め。
元々はあまり大した理由もなく、「人に薦められたから」という理由で読み始めたのだが、非常に勉強になった。問題解決に取り組むために、本書ではそのための思考として「ゼロベース思考」と「仮説思考」、技術として「MECE」と「ロジックツリー」を説明している。また、それらを実践で使うために「ソリューションシステム」を説明している。どの章においても要点をしっかりと説明しており、具体例も分かりやすい。そのため、読みやすい本になっている。<P>しかし、MECEやロジックツリーを説明した『ロジカルシンキング』や『考える技術・書く技術』と比較すると、本書は『ロジカルシンキング』よりも「MECE」の説明が少なく、『考える技術・書く技術』よりも「ロジカルシンキング」についての!!!明が安易過ぎる気もする。この意味では、他のロジカルシンキング系の本も併せて読んだほうがいいと思われる。
戦略思考に関する数多くの著書がある中で、この本は、問題解決に悩む方向けの「実用書」と言える。即ち、「思考と技術」のみならず、読者が実践するための「ソリューション・システム」のインストレーション方法まで触れられており、即、実践に役立つ著書である。したがって、この本を読んだ後は、読者のWill(意志)が試されるということであろう。